東京五輪、迷彩服自衛官警備の理由とは
テロ対策口実の「治安出動態勢」狙う?
小西誠|2021年8月18日9:20PM
東京五輪開幕後、各競技会場周辺やロードレース沿道では、警備に立つ迷彩服姿の自衛隊員の姿が目立ち、近隣住民や本誌読者からも疑問の声が寄せられている。
開会式当日の東京都心上空では、航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が五輪マークを描いたが、その「曲芸飛行」に対しては、かつて基地周辺住民から航空法違反の疑いで告発状も出されている。開会式での「日の丸」や五輪旗の掲揚だけでなく、各競技場のメダル授与式での各チーム団旗の掲揚などにも自衛官が携わっており、「平和の祭典」ではなく、まるで「軍の祭典」だとの批判も出ている。
ただ、「日の丸」掲揚などとは異なり、競技会場内外での自衛隊の警備活動は、実態上の「軍」による「市街地出動」の様相を呈するだけに深刻度が違う。
防衛省への本誌の取材や同省ウェブサイトの情報を総合すると、 自衛隊は、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の要請で陸・海・空の全自衛隊による「東京2020オリパラ支援団」を編成し、約8500人を派遣。「国旗」(五輪憲章によれば国旗ではなく正しくは各選手団の旗)掲揚だけで約370人を動員している。最大は競技会場内外の警備(セキュリティチェック)や自転車ロードレースの沿道警備(東京近郊約1900人)などの、総計7600人の動員だ。
問題は、沿道警備などの本来ならば警察の任務を、自衛隊がどのような法的根拠で行なっているかだ。毎年開催の国体などは、自衛隊法100条の3の「運動競技会に対する協力」が根拠だ。また同法施行令では「運動競技会の範囲」が具体的に定められており、「オリンピック競技大会や国民体育大会」などを明記(126条の12)。さらに同条の13では「運動競技会の運営についての協力の範囲」として「式典、通信、輸送、奏楽、医療及び救急、会場内外の整理」などと細かく定める。