「慰安婦」記述の「学び舎」歴史教科書
植村隆も支援者に
植村隆|2021年8月20日3:16PM
【戦時性暴力の当事者性】
8月15日前後は、『「慰安婦」問題を子どもにどう教えるか』(2017年、高文研発行)を精読した。金学順証言がきっかけで授業で「慰安婦」問題を取り上げるようになった大阪府の公立中学校教員の平井美津子さんの著書だ。
右翼などの妨害にも負けない平井さんは同書で、歴史修正主義者の授業内容への攻撃の口実に「教科書に載っていない」ということがあると指摘し、「たった1社(注・学び舎)といえど、教科書に記述された意義は大きい」と讃えた。さらに「『慰安婦』問題は戦争の実相を学ぶ上で重要な視点だ」と言い、いまも各地で起きている戦時性暴力に対しても「当事者性をもって考えてほしい」と書く。
「著書に感動しました」と平井さんにメールを送った。即日、私のことを「同志と思って応援してきました」との返事をくれた。そして、こう続けていた。
「教科書に『慰安婦』記述が1997年に登場したにもかかわらず、自民党をはじめとする右派の政治家や歴史否定論者によって、どんどん教科書から記述がなくなりました。現在、学び舎と山川出版社の2社で復活していることが本当にうれしい限りです」。こうした教科書を応援しなければならないと改めて思う。
(植村隆・『週刊金曜日』発行人、2021年8月27日号)