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タリバーンを孤立させれば報復につながる--“軍隊”を派遣していない日本だから可能な対話を
谷山博史|2021年9月2日11:20AM
タリバーンより米軍憎し
アフガニスタンでの対テロ戦争は講和なき戦争であった。有志連合による主要な戦闘が終わった後、ドイツのボンで締結されたボン協定は、タリバーンを除くアフガニスタンの主要勢力と各国が結んだ協定で、和平協定ではなかった。
米国にとって対テロ戦争はタリバーンの掃討戦争、すなわち根絶やしにする戦争だったのである。スピンガル山脈のトラボラ地域の洞窟に籠るタリバーンを、原爆以外で最も殺傷力のあるバンカーバスターやデージーカッター弾などを使って殲滅するなど、凄惨な掃討作戦が繰り広げられた。
この掃討作戦が民間人への被害を広げた。06年の時点で民間人犠牲者は、タリバーンの自爆攻撃や簡易爆弾によるものと米軍やNATO指揮下の国際治安支援部隊によるものとがほぼ拮抗するまでになっていた。タリバーンに対する怒りと同程度、いやそれ以上に米軍に対する怒りや報復感情がアフガン人の間に生まれていた。