「デジタル庁」発足に法律家グループが意見書 「特別の監視機関が必要だ」
佐藤和雄|2021年9月7日3:31PM
【日本版CIAができる?】
さらに法律家ネットワークが今回の意見書で強調しているのは、デジタル改革関連法の成立後、政府の情報・捜査機関がさらに拡充しようとしていることへの懸念だ。
先の通常国会では、自衛隊の基地や原発周辺の土地の所有や利用状況を調べ、規制することを可能にする「重要施設等及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(重要土地等調査・規制法)が成立した。来年春にも法律が施行されれば、全国の関連施設周辺の土地所有と利用状況の情報が、内閣官房に設けられる担当組織に順次集まってくることになる。
加えて警察庁は、サイバー犯罪を取り締まるために警察庁法を改正し、「サイバー直轄隊(仮称)」を2022年度に発足させる方針を明らかにしている。サイバー直轄隊は200人規模になると伝えられている。こうした政府組織が増えることに、海渡氏は「日本版CIAのような組織ができつつある」と話した。
一方、個人情報保護委員会事務局にヒアリングしたところ、約150人の態勢について拡充するかどうかなお検討中という。
三宅氏は「強大なデジタル庁に対抗するためには、800人の職員がいる公正取引委員会に匹敵する規模にすべきだ」と、個人情報保護委員会の拡充を求めた。
意見書では、「内閣情報調査室、公安調査庁や自衛隊情報保全隊等の活動について専門的に監視・監督する監視システムは存在しない」「収集された住民などの個人情報等の分析機関、また、今後新たに設置される予定とされる警察庁サイバー局・サイバー直轄隊についても、有効な監視・監督機関はない」と指摘。そのうえで、独立した第三者機関の設立と、是正の勧告・命令を可能とする制度が「必要不可欠だ」と強調している。
(佐藤和雄・編集部、2021年9月3日号)