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「ニュース女子」制作のDHCテレビに賠償550万円と謝罪掲載命じる判決
東京地裁
岩本太郎|2021年9月13日4:56PM
沖縄の米軍基地建設反対運動を報じたテレビ番組「ニュース女子」(東京MXで2017年1月放送)をめぐる問題で、ついに司法が判断を下した。同番組中で非難された人権団体「のりこえねっと」の共同代表・辛淑玉さんが、番組制作会社「DHCテレビジョン」と、司会者の長谷川幸洋氏(当時は『東京新聞』論説副主幹)を相手に損害賠償などを求めた裁判で、東京地裁(大嶋洋志裁判長)は9月1日、DHCテレビに対して550万円の支払いと謝罪文の同社ウェブサイト掲載を命じる判決を言い渡した。
「我々としては非常に満足できる判決」と原告代理人の一人、佃克彦弁護士は記者会見で語った。賠償額は原告側が請求した1100万円の半額だが名誉毀損訴訟では高額。かつ謝罪文は判決が定めた通り「事実と異なる内容を有するもの」「辛淑玉氏の名誉を毀損したことを認め」等の文言を含む内容を、DHCテレビが同社サイトで問題の番組を公開しているため、公開し続ける限り同じページにそのまま載せなければならないとした。長谷川氏による反訴も棄却され、名誉毀損に関しては原告の主張を全面的に認めた格好だ。
しかし判決は他方で、長谷川氏は同番組の制作や編集に関わっていなかったとして原告側の訴えを退けたほか、原告側が求めていたサイト上での番組配信の差し止めは認められなかった。同じく原告代理人を務める金竜介弁護士は、これら棄却された点を含めて今後「控訴を検討します」と語った。
DHCテレビ側は判決の当日、ネット番組「真相深入り!虎ノ門ニュース」で裁判所前から生中継を行なうなど自らの主張を報道。同社の山田晃社長が控訴の意向を表明したほか、長谷川氏も「勝訴した」とし、弁護団と今後の方針を相談する旨を同番組や自身のツイートで述べた。これら被告側の主張をインターネット上でもてはやす声も少なくないほか、前述の謝罪文掲載も判決が確定しない限り実現しない。そうした意味でも一連の問題はなお未解決のままだ。