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「飯塚事件」で第2次再審請求
新証拠は「“真犯人”目撃」証言
小石勝朗|2021年9月17日5:38PM
1992年に福岡県飯塚市に住む小学1年の女児2人が殺害された「飯塚事件」で、死刑が確定して執行された久間三千年さん(執行時70歳)の妻が第2次再審請求を福岡地裁に申し立てた。9月4日に支援集会がオンラインで開かれ、弁護団が新証拠とした「真犯人を目撃した」との新たな証言など、再審請求の内容を説明した。
久間さんは捜査段階から一貫して犯行を否認し、直接的な物証や自白がないまま「情況証拠」を組み合わせて死刑判決が導かれた。
第1次再審請求審では、再審無罪となった「足利事件」で有罪の証拠とされたのと同じ手法のDNA鑑定が「実質的に証拠から排除された」(弁護団)が、最高裁は他の鑑定や証言などを総合する形で今年4月、請求を棄却した。徳田靖之弁護士は「私たちの『憲法違反』の主張に対し最高裁は判断を全く示さなかった」と非難した。
第2次再審請求は7月に出された。2人の児童が行方不明になった約2時間半後、現場付近を車で通りかかった福岡県在住の男性(72歳)が新たに証言。前方の白い軽自動車があまりに遅いので追い越し時に車内を見たところ、後部座席にランドセルを背負って泣きそうな顔の女児と横になっている女児がおり、30~40代くらいの坊主頭の男が運転していたという。
証言した男性は白昼の不自然な状況から「誘拐では」と疑い、警察に通報して事情聴取を受けた。3年後の久間さんの初公判も傍聴し、男とは別人だと認識した。「30年近く前の目撃だが、こうした機会に内容を確認できたため記憶は明確化されて保持された」と岩田務弁護士は説明した。
死刑判決では、遺留品発見現場で久間さんの車と特徴が一致する車を見たとする目撃証言も「情況証拠」の柱になった。が、この証言の調書を作った警察官が事前に久間さんの車を見ていたことが判明。弁護団は「証言を誘導した」として検察に証拠開示を求める方針だ。
(小石勝朗・ジャーナリスト、2021年9月10日号)
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