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混迷のアフガニスタン──タリバーン、親米軍閥、ISの三つ巴内戦化を避けるためには?
本田雅和|2021年9月18日3:36PM
アフガニスタンでの親米政権崩壊で避難民がカブール空港に殺到する中、懸念していたことが起きた。空港周辺での爆破事件で米兵13人を含む180人以上が死亡、「過激派組織」と報じられる「イスラム国」(IS)の支部が犯行声明を出し、首都を制圧したイスラム主義勢力タリバーンと空港を警備していた米軍の間では責任のなすりつけ合いだ。米軍は「撤退」しても親米軍閥への支援は続く。タリバーン、北東部を拠点にする親米の旧北部同盟派(パンジシール派)、そしてIS勢力――3者による三つ巴の内戦泥沼状態に突入してしまうのか?
8月26日の爆破攻撃に「報復」を宣言したバイデン米大統領と米軍は27日、東部のナンガハル州で「ISメンバーの車両」に対するドローン(無人機)攻撃を実施し、「(空港周辺での)テロのファシリテーター(立案準備者)を殺害した」と発表した。
さらに29日には、「空港に向かう車両」に向けて再び空爆し、これに伴う爆発で子ども6人を含む9人の家族が死亡した。米中央軍は当初「民間人の被害は確認できていない」と否定していたが、CNNなどで報道されるとこれを認め、報道官は「罪のない人々が犠牲になったとすれば非常に残念に思う」などと他人事のようなコメント。31日には逃げるように「駐留軍の撤退完了」を発表した。
これからアフガニスタンはどうなっていくのか?
「余談を許さないのは当然だし、先が読めない不安からか、メディアも混乱状態の映像ばかりを垂れ流す。こうした報道バイアスが次の戦闘を正当化する論理にもつながっていくのではないか」――日本国際ボランティアセンター(JVC)の谷山博史・元アフガニスタン駐在代表は懸念を表明する。
タリバーンは15日にカブールを制圧したばかり。「まだ新しい政府の体制も法的枠組み(イスラム法=シャリーアの運用・適用も含めて)決まっていないのですよ」と冷静さを求めた。