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混迷のアフガニスタン──タリバーン、親米軍閥、ISの三つ巴内戦化を避けるためには?

本田雅和|2021年9月18日3:36PM

対話のパイプ築けない日本

ベトナム戦争よりも長い「20年の長きにわたる戦い」などとされる現在のアフガニスタン戦争にしても、20年前の米軍によるカブール空爆で突然、始まったわけではない。私の最初のアフガニスタン訪問当時、滞在したカブールのホテルでは、国際会議に参加中にマスード将軍派のミサイルが飛んできて隣地に着弾した。当時から各地に軍閥が割拠する内戦状態だったが、9・11事件までは国際社会から“忘却”されていただけだ。

国際社会からの「無関心」の中で放置された国の内部では人権侵害が深く根を張り、米ソから代理戦争のための武器ばかりが供与され、内戦が激化。「テロリストの温床」となったとして米軍の空爆が始まると、今度は「人権侵害を止めるためには空爆攻撃もやむをえない」との論調で『朝日新聞』など日本の大手メディアも侵略を正当化し、米軍を応援してきた。

米軍の後ろ盾を得た北部同盟軍が進撃してタリバーン政権が逃走するまでは、欧米でも日本でも、タリバーンがいかに「女性を抑圧する人権侵害政権」かという側面ばかりが強調され、欧米の「フェミニスト」まで動員するキャンペーンが展開され、そのうち再び、国際社会からの“無視”が続いた。一方で、親米の北部同盟軍のイスラム原理主義勢力による女性弾圧に対しては、当然のごとく、以前から“無視”が続いていた。

そうした土壌の中で、内戦は深化し、5年前の時点でタリバーンは国土の3分の1を席巻していたが、これも日欧米のメディアはほとんど報道してこなかった。

しかし、人権侵害を止めるためには「武力」ではなく「対話」しかない。タリバーンは「(国家再建のために)日本人は必要だ。保護するので残ってほしい」(報道官)と「友好的外交関係の確立」を訴えている。まさにこの対話の好機に、日本政府はいち早く外交官ら大使館員を全員引き揚げ、軍用機を送りつけるという「二つの逆コース」を邁進、「対話のパイプ」作りに失敗している。

(本田雅和・編集部、2021年9月3日号)

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