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国際医療福祉大病院建設めぐる成田市訴訟 
私立大への「優遇」容認

片岡伸行|2021年9月22日3:56PM

成田市畑ヶ田に建設された国際医療福祉大学付属病院。(撮影/片岡伸行)

千葉県成田市(小泉一成市長)が国家戦略特区によって誘致し、2017年に新設された国際医療福祉大学医学部の附属病院建設のあり方をめぐって争われてきた住民訴訟の判決が9月3日、千葉地裁であり、内野俊夫裁判長は住民側の請求をいずれも棄却した。

同大学の附属病院建設にあたっては、成田市が土地を無償で大学側に提供し、大学がこれを一般社団法人成田国際医療都市機構に転貸。同機構がその土地に附属病院を建設して大学に有償で貸し付けるといった、異例かつ複雑な事業スキームが採用された。

地方自治法上、市有地での収益事業は原則禁止されていることから、原告側はこの手法について「大学と機構は一体であり、大学側に市有地を転貸させてそこで収益(賃料)を得るやり方は違法」などと主張。一方、成田市は「本件事業スキームは大学の財務体質の健全化に寄与した」とし、公益上の必要性を主張してきた。

判決では、大学と機構が「一体の関係」で「都市機構は(略)賃料を収受することによって収益を得る」と認めながらも、「用地の無償貸付を超える経済的利益」を与えられていないなどとし、市の判断に違法性はないとした。また、成田市が千葉県水産振興公社から附属病院建設地(農地)を取得した際、実際の土地所有者が、本来は農地を所有できない成田国際空港株式会社であったことについて原告は「違法に違法を重ねた手法」と主張したが、判決では成田国際空港が「異議を述べていない」などとして容認した。

原告代理人の水野泰孝弁護士は「政策論の前に、行政として守るべき財政規律がある。行政追随の判断になったことは残念」とし、控訴を検討する意向を示した。

同大学誘致をめぐっては約130億円の血税が使われ、「公益」を名目とした一私立大学への優遇が問題視されてきた。

(片岡伸行・記者、2021年9月10日号)

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