ユネスコ世界遺産委決議受け明治産業遺産の展示変更を要請
強制労働や軍事目的の明確化を
2021年9月22日5:44PM
【約束を反故にする日本】
が、日本の加藤勝信・官房長官は決議直前の記者会見でも「これまでの世界遺産委員会における決議・勧告を真摯に受け止め、我が国政府が約束した措置を含め、それらを誠実に履行してきた」と述べている。筆者は13日、外務省に対し「これは日本政府の見解と一致するのか? 修正や補足はないのか」と改めて質問状を送ったが、報道課から14日、「官房長官が会見で述べている通り」との回答が返ってきた。この姿勢は先の「国際的な約束」を反故にし、ユネスコ委員会の決議にも挑戦する姿勢にしか、私には見えない。
真相究明ネットワークの中田光信事務局長は会見で、ユネスコ決議などにある「朝鮮人等」の「等」の重要性を強調。「中国人や多国籍の連合軍捕虜なども含むことの意味は、世界的規模での戦時強制動員・強制労働だったという歴史的文脈の中でこそ産業遺産の価値があるということ」と説明した。日本政府がときに「等」を省略することも批判した。
ネットワークでは13日、先述の情報センターの閉館のほか、産業革命遺産の保全委員会の会長や副会長の解任などを求めるとともに、同センターの運営委託を「資格のない組織」に任せている政府の責任を問う要請書を13日、外務省や内閣官房、文部科学省などの担当部署宛に郵送した。
また18日午後3時から「問われる産業遺産情報センター!」と題して7月のユネスコ決議を解説するZoom集会を開く。明治産業革命遺産に動員された韓国の被害者の新たな証言報告も予定されている。申し込みなどは同ネットのウェブサイトまたはファクス(078・891・3019)へ。
(本田雅和・編集部、2021年9月17日号)