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スタジアム建設予定地で旧陸軍の被爆遺構が出土 
広島市の「切り取り保存」方針に抗議の声

金井良樹|2021年9月28日1:10PM

【被爆前の軍都・広島の姿 圧倒的スケールで】

この遺構の最大の意義は、かつての軍都・広島の姿を圧倒的なスケールで実感できるという点であろう。軍需産業で栄え、侵略戦争の拠点となり、アジア各地で非道を尽くした日本軍を送り出した一大軍事都市も、特に日本国内では原爆を受けた被害都市という面ばかりに光が当てられてきた。輜重隊遺構は、決して人々がただ平和に暮らしているところに突然原爆が投下されたわけではないことを教えてくれるのだ。一部を切り取ってもこの規模は伝わらない。

輜重隊遺構は爆心地の北東約750メートルに位置し、被爆によって基礎部分を残してほぼ全壊、数百人が亡くなったとされている。それがほぼ被爆当時を十分に彷彿とさせる姿と規模で、七十数年後に再び眼前に現れている。市側はこれを「被爆の明確な痕跡は見当たらない」などと私たちに説明しているが、遺族や市民に広く公開することなく、大部分を壊してしまうことは、被害の歴史すら軽視している。

広島市は、多くの反対にもかかわらず9月上旬から遺構の撤去作業を再開した。輜重隊遺構は日々壊されている。作業を中止させ、現地に少しでも広い面積で残したい。筆者らは有志でオンラインでの署名活動(https://www.change.?org/shichoutai)も始めている。

(金井良樹・加害の歴史から広島を考える会、2021年9月24日号)

 

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