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ビジネスリーダーたちも選択的夫婦別姓実現を要求
総選挙の争点として注目
宮本有紀|2021年10月15日2:09PM
婚姻時に夫婦同姓か別姓かを選べるようにする選択的夫婦別姓制度の導入については、法制審議会で1991年から審議し96年に民法改正の答申がされているが、25年経つ今も実現していない。この間、世論調査では賛成派が多数になり、「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」によれば、選択的夫婦別姓制度の実現を求める意見書の採択をした地方議会は296(10月9日時点)。法改正しないのは立法不作為であり同姓の強制は憲法違反だと訴える訴訟もすでに複数提起されている。しかし最高裁での判決や決定の多数意見は「違憲ではない」で「国会で法律改正を審議せよ」という結論になっている。その国会を見ると、自民党以外の党で反対している党はない。むしろ積極的に導入を検討をしている党が多い。自民党内でも全員が反対ではなく「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」もできたが、安倍晋三氏や高市早苗氏ら根強い反対派有力議員の存在により同党内の意見は一本化できておらず、党議拘束がある以上は法改正が難しい現状だ。
この問題の賛否双方の立場の候補者が揃った同党の総裁選挙が終わった9月30日、「選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会」が記者会見し、ビジネスの視点からも民法改正が必要だと訴えた。同会は今年4月、企業経営に携わる19人が共同呼びかけ人となって発足し、選択的夫婦別姓の実現を求める署名活動を開始。現在650人超の署名が集まっているという。大企業、一部上場企業の経営者からの賛同も多い。
パナソニックの樋口泰行専務は「ジェンダー平等の観点で、議論の余地なく、当然のことと賛同致します!」、大和証券グループ本社の田代桂子副社長は「結婚時に強制的に変えさせられている現状の早期改善を強く希望します。通称という中途半端な対応ではなく、正式な形での選択制にしないと様々な場面でストレスを伴う交渉がこれからも発生してしまいます」、新生銀行の工藤英之社長は「反対する論理がそもそもよくわからない」、野村證券の鳥海智絵専務は「商業登記における旧姓併記の実現に微力を投じた経験から、それを超えた選択制の導入に強く賛同いたします」などのコメントを寄せている。
自身も結婚改姓をし法改正を求める裁判を提起したサイボウズ株式会社社長の青野慶久氏が「金融系の方が多い。銀行や保険の窓口で旧姓や戸籍姓をダブルで使われると本人確認が難しい現状を示している」と解説した通り、金融機関や海外出張時などの本人確認はあくまで戸籍姓だ。
一般社団法人日本跡取り娘共育協会の小林博之代表理事が紹介した女性経営者191人を対象にした意識調査でも「婚姻・離婚で姓を変更することに不便を感じた」のは61・8%で、不便の内容に、金融機関・公共機関での名義変更の諸手続にかかる手間とコストのほか、通称使用による混乱、旧姓時の活動と新姓時の活動の分断、創業家の姓を失うことによるブランド力の低下などがあげられている。いずれも、高市氏らが主張する「通称使用の拡大」では解決できない問題だ。
クリエイティブディレクターで株式会社arca代表の辻愛沙子氏は「96%も女性側が姓を変えている意識が日本のジェンダーギャップの課題。意識を変えるためにも制度改革が必要」とし、「総選挙では選択的夫婦別姓も大事な争点として注目している。投票における大きな基準になる」と発言。青野氏は、今年1月に高市氏ら50人の自民党国会議員が自民党籍の全国42道府県議会の議長に、選択的夫婦別姓制度の実現を求める意見書を採択しないよう求める文書を送った件から「陳情アクションを妨害した50人の議員が明らかになった。誰を当選させて誰を落とせばいいのか明らかになって迎える総選挙は初めて。反対している議員に落ちていただき、賛成している議員に当選していただく。国会の中と自民党の中を賛成議員に入れ替えていく機会になると思う」と述べた。
(宮本有紀・編集部、21年10月15日号)
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