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選択的夫婦別姓反対派議員の主張を家族法研究者が論破

二宮周平|2021年10月22日6:35PM

 

【旧姓を通称使用すればいい?】

主張5 既に殆どの専門資格(士業・師業)で婚姻前の氏の通称使用や資格証明書への併記が認められており、マイナンバーカード、パスポート、免許証、住民票、印鑑証明についても戸籍名と婚姻前の氏の併記が認められている。

〈解説〉氏名には個人を識別特定する機能と個人の人格を象徴する機能があるが、通称使用の拡大や旧姓併記は、どちらの役割も果たすことができない。まず、「戸籍上の氏(婚姻前の氏)」という併記は、その人が婚姻し相手方の氏を名乗っていることを、本人の意思にかかわらず明示するものであり、個人のプライバシーを侵害する。パスポート等で併記は可能だが、外国の人には「婚姻前の氏」の意味が不明であり、航空券やクレジットカード等の記載と異なるので、海外では通用しない。

通称使用は任意の便宜的な措置であり、専門資格や勤務先で通称使用が認められても、税や社会保険、預貯金の口座やクレジットカード、携帯電話の契約、法人登記や成年後見人の登記等では戸籍姓を用いるため、通称使用はダブルネームを認めることにほかならない。個人には使い分ける負担を増加させ、通称使用をする人の社会生活を妨害する。社会的にはダブルネーム管理のコストや個人の識別の誤りのリスクを増大させる。

どちらも、婚姻の際に氏の変更を望まない当事者にとって、その氏を維持することができないという個人の人格に関わる本質的な問題を解決することができない。

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