総選挙の争点は「選択的夫婦別姓」
多様な家族に対応できる国会に
井田奈穂|2021年10月22日7:45PM
【反対派のツイートをヒントに説得資料作成】
井田 それでツイッターでつながった同じ思いの人にmネット・民法改正情報ネットワークの院内集会を教えてもらって参加し、議員への働きかけが必要だと学んだので当事者7人と地元の東京・中野区選出の国会議員、松本文明議員にアポをとって伺いました。「法改正を求める当事者があちこちで陳情をして、意見書を地方議会から国会にあげれば国会議員はやりやすくなる」とアドバイスを受け「中野区議会に陳情を出すなら、自分の元秘書が今、議長をやっているから紹介する」と電話をかけてくれました。その元秘書が出井良輔区議で、私たちの話を聞いて共感してくれ、陳情のやり方を教えてくれました。これが18年の8月で最初の陳情です。1回目は採択されず継続になり、2回目の12月に採択されました。
これは同じような思いをしている人が自分の地元でやったらできるのではと思い、呼びかけるアクションのサイトを同年11月に立ち上げました。そのとき「陳情アクション」の地域を「東京」にするか「関東」にするか「全国」にするか迷いましたが、「全国」にしておいてよかったと思います。
――「陳情アクション」ですが、ご活動は陳情だけではないですよね。
井田 最初は書式の決まりのない陳情と、紹介議員が必要な請願しかやり方を知らなかったのですが、議員提出議案という方式がとれることも教わりました。東京・府中市の公明党の議員が揃って私たちの話を聞いてくれて「もう陳情も請願も締め切ったし、今定例会でやりたいのなら議員提出議案しかない」と言われたので、中野区の文案を参考にして提示して議員に出してもらったら一発で採択されたんです。今はこの議員提出議案の手法を勧めています。
よく考えたら、議員は市民の困りごとの解決が仕事で、私たちはそのために税金を払っている。だから議員にしっかり動いてもらうために全国で勉強会をするやり方を開発していきました。
勉強会で、感情論による不安を反証する材料を提示すれば納得してもらえる確率は高くなります。その反証データをつくるために助けになったのが反対派の人たちのツイートです。私たちを攻撃する返信に反対理由が隠されていて「説明して」と頼むと説明してくれるわけです。「家族の絆が壊れる」とか「天皇制が壊れる」というのは何を心配しているのか。氏名が変わらない人が増えれば経済コストが下がるに決まってるのになぜ「コストがかかる」と思い込んでいるのか。反対派の人たちのお陰で説得材料の資料ができました。子どもがかわいそうだと言われたら子どもを出す、絆が壊れると言われたら、そんなデータはなく、逆に絆と改姓は関係ないというデータを出す、というように。