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JR東海が開始したリニア工事に田園調布の住民が緊急抗議

樫田秀樹|2021年10月27日6:38PM

田園調布の住民がプラカードで訴える動画を作成し、YouTubeで公開した。

東京―名古屋間で進むリニア中央新幹線の工事でJR東海は10月14日、東京・品川駅の南1キロにある立坑からシールドマシン(大型掘削機)でトンネルを掘る「調査掘進」を始めた。「あまりにも唐突だ」。市民団体「リニアから住環境を守る田園調布住民の会」の三木一彦代表は、工事開始の知らせをポスティングで知ったのがわずか3日前だっただけに驚いた。

昨年10月18日には、東京都調布市内の外環道工事でリニアと同じシールドマシンが起因の陥没事故が起きている。住民の会は12日、JR東海の金子慎社長と斉藤鉄夫・国土交通相あてに「国交省は9月28日にシールドマシンの安全基準を定める検討会を発足したばかり。その指針が出るまでの掘削は中止すべきだ」との趣旨の緊急抗議声明を送った。が、両者からは何の返事もないまま。リニアでは初の大深度(おおむね地下40メートル以深)での作業だ。

「シールドマシン発進前には改めて住民説明会を開催いたします」

6月8日、品川区での住民説明会でJR東海はそう明言した。

7年前に国交省が計画を認可すると約70の工区で取付け道路や斜坑などの建設が始まった。2019年12月に品川区で、20年10月に愛知県春日井市で、21年9月に神奈川県川崎市で、シールドマシンが大深度で発進できる立坑(JR側は「非常口」と呼ぶ)が完成。JRは川崎と春日井でも「シールドマシン発進前に改めて住民説明会を」と同様の説明をしていた。

しかし、こうしたJR側のやり方に疑義が生じたのは8月27日。品川区での住民説明会で、北品川非常口からシールドマシンを試験的に300メートル掘進し、地盤や地表への影響を確認のうえ、問題があれば対策を練り以後の工事に活かすという「調査掘進」の実施を公表した。調査掘進は本掘進ではないので、事前説明が不要。「これは実質的な本掘進です」と、三木さんは憤りを隠さない。

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