総選挙と同時実施の「最高裁国民審査」にむけて法曹団体が「罷免すべき判事」示す
本田雅和|2021年10月28日1:23PM
【形骸化した現行制度】
日民協の大山勇一事務局長は「国民審査は憲法上の重要な制度なのに形骸化している。審査公報にも情報は挙げられるが、国民が判断するに十分なものではない」と批判。「有意義な制度とするために簡潔で分かりやすい冊子作り」を手掛けた理由を説明した。
今年6月23日に大法廷が出した(1)の合憲決定を解説した角田由紀子弁護士は、検察官出身の三浦守判事の意見について「夫婦同姓を強制する民法750条が憲法24条違反だとしながら、戸籍法は合憲だとして別姓を認めなかった」とその矛盾点を突いた。
角田氏は「今回の多数意見が依拠した2015年の最高裁判決での夫婦同姓強制の論理が、12年の自民党憲法案の旧態依然の家族観と全く同じで衝撃だった」と驚く。さらに戦前の治安維持法適用に積極的だった思想判事の故・石田和外氏が戦後の最高裁長官に就任するなど、戦後の司法界で戦争責任が十分に問われてこなかったこととの関連性にも言及した。
PTの澤藤統一郎弁護士は「×を付けずに何も書かなければ自動的に信任となる。×以外の〇や△などを書くと全体が無効になるという不十分で変な制度」と制度設計の問題点を指摘したうえで「国民が監視しているぞという意思表示をしてほしい」と強調した。
そもそも違憲立法審査権を持つ最高裁の判断は、日本国民だけでなくこの社会で暮らすすべての人々の基本的人権に影響する。地方参政権問題と同様に少なくとも定住・永住外国人には参加できる制度にすべきだ。こうした法理論さえないことは、法律家の怠慢というべきだと、筆者は考える。
(本田雅和・編集部、2021年10月29日号)