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小川淳也立憲民主党議員インタビュー
「この国を変えるには人類史的、文明史的な転換が必要」
「政治のターゲットは社会保障」
2021年11月10日7:04PM
【新「立憲民主党」の活路】
――それが菅政権への対抗軸となり、新「立憲民主党」の存在理由になるということですね。ただ、新党の執行部の顔ぶれは、「帰ってきた民主党」としか見えません。小川議員が代表になるくらいの大胆な人心一新をしないと、支持率は上向かないのではないでしょうか。新「立憲民主党」の活路はどこにありますか。
代表の枝野幸男さんは、実務能力を重視して、安定した船出をしたと思っています。ただ、それで支持が野党に向かっているわけではなく、厳しい現実を直視しなければなりません。私たち世代の自覚に加えて中村喜四郎さんや江田憲司さんという旧民主党でない新しい血も入ってきていますので、化学変化に期待しています。
――安倍政権は、民主党政権時代のいいとこ取りをやってきました。幼児教育、高等教育を無償化しますや、最低賃金を上げますなどは民主党政権時代に掲げられたテーマですよね。
安倍さんのうまいところは、右派の方の支持を取りつけつつリベラル層に訴えています。われわれ野党は逆で、リベラル派を固めて保守層に打って出なければならないのに、それができているかと言えば、十分ではありません。
安倍政権が最低賃金や、同一労働同一賃金の課題に号令をかけたのは事実です。ただ、安倍さんがうまいなと思っている人はいるでしょうが、庶民の暮らしを心底心配して、それに寄り添った人だと評価する国民は非常に少ないと思います。その部分は、最終的には人間同士なので、当の指導者が本気なのかどうかは、熱として国民に伝わります。ロジック(論理)とかファクト(事実)だけではなくて、熱として伝わる部分が大いに重要だと思います。
――国会で小川議員が統計不正問題を追及されたとき、「もしこの国の総理大臣が、いい数値持ってきたらですよ、いい数字はもういいからと。(中略) どっかに悪い数字ないのか。そこで困ってる国民はいないか。そこに社会の矛盾が埋もれてないか」と、あれは感動させる発言でした。
あれも私自身が葛藤していて、心の叫びだったんです。こういう政策を示すと歓迎されるかなではなくて、当の本人が本気で何を思っているのか、それがなぜなのか、深い部分から出るメッセージでなければ力がこもりません。言葉尻だけ整えたところで、体温として国民に伝わりはしません。人間の感性を信じなければなりません。
――政治家と専門家のあるべき関係について、どうお考えでしょうか。たとえば、コロナ禍での政治家と医系技官の関係で、首相や厚生労働大臣がPCR検査をもっとやれと言っても、医系技官が反対してできなかったと聞きます。安倍首相(当時)と政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長(独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)が並んでの記者会見も、政治の責任放棄だと批判を浴びました。
官僚のマインドもシステムも体でよく知っています。今の政権が掲げる「官僚の縦割り」問題については、民主党政権も指摘していたことで、それ自体は正しいと思っています。ただ、人事権の振りかざし方に問題があります。今回、菅さんが、言うことを聞かない官僚は異動だと言っていますが、最終的にはそうだとしても、それを最初から振りかざすのはどうかと思いますね。
――旧民主党政権のときはどうでしたか。
私は総務大臣政務官を担当して地方議員年金の廃止を手がけました。あのとき、役所には議員年金制度を維持したいというプランもありましたが、私は議員特権を一つひとつ見直していかないとだめで、旧来の方針にとらわれず一から見直したいと言いました。各党の説明に行ったり、大方針を立てたり、しんどい部分は私が引き受けるので、事務的なプランづくりを事務方に頼むと伝えました。決定責任と説明責任と批判を受け止めるのは私が引き取るのでと言って実際に実行したのです。
役所の皆さんも、理のある説明、説得があれば、理解してついてきてくれるものです。PCR検査も、医系技官を説得できなかった総理や厚労大臣側の責任ですね。専門家の言い分、意見があると踏まえた上で、リスクを考慮し、こういう判断をした。その責任は私にあるというのが政治家の正しい姿勢ではないですか。あやふやな関係の中で、無責任な意思決定をお互いがやっているのであれば、国民にとっては迷惑な話です。