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マイナンバー違憲訴訟、名古屋高裁も住民側控訴を棄却

2021年11月19日8:17PM

判決後の集会で報告する加藤光宏弁護士(左から2人目)。(撮影/稲垣美穂子)

 マイナンバー制度は憲法13条が保障するプライバシー権(自己情報コントロール権)を侵害するとして、国に個人番号の利用差し止めや慰謝料を求め、全国8地域で提訴されていた違憲訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁の萩本修裁判長は10月27日、愛知、三重の住民11人の訴えを棄却した。これまでの判決でもいずれも住民側が敗訴、控訴棄却は全国で3例目だ。

 自己情報コントロール権について、2019年12月の名古屋地裁判決は、この制度で「個人に関する情報をみだりに収集、保管、開示又は公表されない自由又は法的利益が侵害されているとはいえない」と原告の訴えを退けた。高裁判決では「保管」が「利用」に言い換えられた。原告弁護団の加藤光宏事務局長は「好意的に読めば原告らが主張してきた現代的問題である個人情報のプロファイリングの危険性に配慮したのかなと思う」としつつ「判決には大きく影響していない」。そのうえで「全体的に原判決から進展はなく焼き直し。自己情報コントロール権を重視しない判決だ」と批判した。

 また、控訴審で原告側は、マイナンバーカードを国家公務員の身分証明証や健康保険証として使えるようにするなど、社会保障・税・災害という番号制度の本来の目的の範囲を超える利用拡大に繋がる問題点を指摘した。だが判決は、カードに内蔵されるマイキーID(識別番号)の不正利用ができる仕組みにはなっておらず「漏えいの機会を増大させるとまではいい難い」として認めなかった。

 番号利用法19条14号が定める「その他政令で定める公益上の必要があるとき」が認められれば、個人情報が警察の捜査などにも提供可能で白紙委任につながり、違憲であるとの主張についても十分に検討されていない。マイナンバー制度の、特に将来に向けた危険性を理解しているとは言い難い判決だ。

(稲垣美穂子・フリーライター、2021年11月12日号)

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