衆院選で女性議員比率減
2025年までに35%が目標なのに9.7%と後退
宮本有紀|2021年12月3日2:59PM
10月31日投開票の総選挙結果は既報の通り。自民党は追加公認・入党を含めて安定多数の262議席とした(11月8日現在)。しかし、女性の当選者数は前回2017年と変わらず20人のまま。女性候補者比率は前回の7・5%より増やし9・8%としたものの、それでも1割未満。当選者比率は7・6%と低迷している。
今回、女性候補者比率で3割を超えたのは共産党(35・4%)、社民党(60%)、NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で(33・3%)。最低だったのは公明党(7・5%)で、前回の5人から1人減らし今回は4人だ。候補者全体では1051人中女性186人で17・7%。前回より23人少ない。昨年末に閣議決定した第5次男女共同参画基本計画で、衆参両院選挙の女性候補者比率を25年までに35%にする目標を掲げているのに、まったく進んでおらず、特に与党のほうにやる気が見えない。
結果として、当選者全体では女性比率は9・7%。解散前の9・9%より後退している。
「この数字は悲しいしショックだしあり得ない」と嘆くのは、パリテ(男女同数)議会を目指し候補者男女均等法(政治分野における男女共同参画の推進に関する法律)の成立・改正に尽力した三浦まり上智大学教授。
「候補者男女均等法が改正された最初の衆議院議員選挙で、前回より数値が下がるのはあり得ない。一番大きい政党で一番比率が低いので、自民党の責任は大きい。政党が何も努力していないとは言わないが、現在のやり方ではダメだということははっきりした。衆議院の選挙制度は新人が入りにくい構造。現職優先の現システムでは空いた選挙区にしか新人が入らないし、しかも新人の半分を女性にするというルールもない。比例で女性を上位につけるというわけでもない。これでは増えない」と批判。「候補者男女均等法を改正し男女の候補者数の目標設定義務化を入れるとか、公職選挙法を改正し比例を男女同数にするとか、抜本的な選挙制度改革をしていかなければならないのではないか。メディアも、この結果を踏まえて、なぜ増やさないのかと自民党につめよらなければならない」と指摘した。