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ウィシュマさんの死を教訓に
外国人DV被害者の保護徹底訴え支援団体ら会見

小川たまか|2021年12月3日5:36PM

スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(享年33)が今年3月に名古屋出入国在留管理局の収容施設で死亡した事件に関連して、外国人女性やDV(ドメスティックバイオレンス)被害者を支援する団体などが、外国人DV被害者への保護の徹底と対策の改善についての声明を11月11日に発表。同日に会見を行なった。

会見したのは、NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)、NPO法人全国女性シェルターネット、人身売買禁止ネットワーク、公益財団法人日本キリスト教婦人矯風会、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウの5団体。移住連の山岸素子事務局長は、「(ウィシュマさんは)パートナーと同居するようになってから学校へ行けなくなって除籍されている。学校へ行けなくなった理由として、DVが十分に推測される。しかし一切の真相の解明がされていない」と指摘した。

ウィシュマさんが日本語学校を除籍され、その後在留資格を失った背景にはDVの存在があるのではないかと支援者らは推測するが、法務省出入国在留管理庁が今年8月に公表した調査報告書では「A氏(注:ウィシュマさん)には、DV被害の影響により在留期間の更新等ができずに不法残留になったといった事情はうかがわれなかった」と結論づけられている。

記者会見する各団体の出席者。11月11日、参議院議員会館で。(撮影/小川たまか)

在留資格をなくしたウィシュマさんは2020年8月に警察に出頭し名古屋入管に引き渡された。当時、ウィシュマさんは元交際相手からの身体的暴力や中絶を強要されたことを訴えていた。また、収容中にも元交際相手から手紙で脅されていたことがわかっている。調査報告書の中でも、「スリランカでA氏を探して罰をやる。B氏(注:元交際相手)の家族がA氏にリベンジするため待っている」と脅迫が含まれる内容の手紙をウィシュマさんが受け取っていたと認定されている。さらに、ウィシュマさんをDV被害者の可能性がある外国人として事情聴取を行なわなかったことは「反省を要する改善点である」とされている。

法務省の「DV事案に係る措置要領」では、「DV被害者又はDV被害者と思料される外国人」については被害についての事情聴取を行ない、事実関係を可能な限り明確にすることや、必要に応じて保護施設に協力を求める旨が記載されているからだ。

しかし調査報告書は、その後に送られてきた元交際相手からの手紙が「冷静な内容となっている」ことや、その相手が暴力を振るったことは認めるものの「一方的に振るったことはなかった」といった証言をしたことから、「DV被害者として退去強制手続き上特別の取り扱いをするべき事案とまでは言えない」と結論づけられている。
 

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