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ウィシュマさんの死を教訓に
外国人DV被害者の保護徹底訴え支援団体ら会見
小川たまか|2021年12月3日5:36PM
「DVにはサイクルがあり、攻撃的な時もあれば優しい時もある」
「ヒューマンライツ・ナウ」の伊藤和子弁護士は、「(暴力に対して)リアクションするのは当然のこと。反撃したことを理由にDVが認められないということになったら死ぬしかない」とし、元交際相手の手紙が冷静になったことについては「DVにはサイクルがあり、攻撃的な時もあれば優しい時もある」と指摘。DV加害者は時折り優しい態度をとることで、被害者を支配下におく構造があることも考慮しなければならない。団体は声明の中で、DV被害に関する専門家が関与したうえで新たな検証を行なうことを求めている。
移住連の山岸事務局長は、「何度もDV被害を訴えながら、被害者としての対応が取られなかったことが本当に大きな過失」と述べ、遺族代理人として出席した高橋済弁護士も「ウィシュマさんの件に関しては、入管にDV被害者であるかどうかを判断させる制度自体が無理なのじゃないか」「(調査報告書では、収容しない判断をすべき事案ではないと判断していることから)現時点においても、ウィシュマさんが同じような状況で救済を求めてもDV被害者としては保護されないということを示している」と問題を指摘した。
声明では上記のほか、◆DV相談に適切に対応するために警察や配偶者暴力相談支援センターなどと入管が連携するなどの内容を盛り込んだ入管法の改正、◆出入国在留管理局の職員がDV被害の申告を受けた際は配偶者暴力相談支援センターに通報を行なうなどの条項をDV防止法に加えることを求めている。
(小川たまか・ライター、21年11月19日号)