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袴田事件の3者協議 
袴田さんが記者会見に登場

粟野仁雄|2021年12月20日7:20PM

 1966年6月に静岡県清水市(現静岡市清水区)の味噌製造会社の専務一家4人が殺害された「袴田事件」で死刑が確定した袴田巖さん(85歳、釈放中)の再審請求審についての3者協議(裁判所、検察、袴田さんの弁護団)が、11月22日に東京高裁で開かれた。

静岡県庁での会見に姉の秀子さん(右)、小川秀世弁護士(左)とともに出席した袴田巖さん。(撮影/粟野仁雄)

 袴田さんの再審請求(第2次)を受けた最高裁は昨年12月、「犯行時の着衣」とされた5点の衣類について「審理不尽」として同高裁に審理を差し戻した。袴田さんは事件発生の2カ月後に逮捕されて以降拘束され、衣類は67年8月に工場の味噌醸造タンクから発見されたが、1年以上も味噌に漬かっていたにしては、そこに付着した血痕に赤みが残っていたことを最高裁は問題視した。

 袴田さんの弁護団は11月1日、「1年以上も味噌に漬かって赤いままになることはない」とする専門家の鑑定書を同高裁に提出した。これに対して検察は3者協議で「赤いまま残ることは絶対にないのか」と反論する意見書を提出すると述べ、同高裁もこれを了承した。弁護団は「事件直後に味噌樽を調べたが衣類はなかった」と証言している元清水警察署員の証人申請もしたが、これは高裁が「不要」として却下した。

 弁護団の小川秀世事務局長は「こちらが出した鑑定書を新証拠として、ただちに再審開始ができるはず。検察の最後のあがきが認められて進行が遅くなったが、再審開始へ向けてやり残しがないようにしたい裁判所の意向と受け止めている」との認識を示した。

 この日、3者協議後に静岡県庁で行なわれた記者会見には、浜松市で一緒に暮らす姉の秀子さん(88歳)に連れられて巖さんも背広姿で出席し、「これで袴田巖は無罪なんだよ。事件がないんだから。事件で血が付いてたって、嘘だ、そんなもん」などと話した。秀子さんも巖さんについて「以前より明るくなった」と語っていた。

(粟野仁雄・ジャーナリスト、2021年12月3日号)

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