徳島市議会
前市長への損賠提訴議案を大差で否決
2021年12月22日2:48PM
徳島市政が揺れている。徳島市議会は12月16日の本会議で、市が前市長の遠藤彰良氏に約4億5800万円の損害賠償を求める訴訟を起こす議案を、賛成9、反対20という圧倒的大差で否決した。一方、内藤佐和子・現市長に対しては、リコール(解職請求)のための運動を進めている市民団体「内藤市長リコール住民投票の会」が、署名活動を来年1月27日から始める予定を発表しており、署名集めをする受任者はすでに1万人近く集まっているという。
徳島市が、前市長の遠藤氏に対し、損害賠償請求をするための関連議案を市議会の12月定例会に提出した経緯などは、本誌12月3日号で詳しく報じた。簡単におさらいすれば、ことの始まりは、2016年の市長選で四国放送のアナウンサーだった遠藤氏が、再開発事業の白紙撤回を掲げて当選。再開発組合が申請した再開発に必要な権利変換計画について、公約通りに不認可とした処分だ。
再開発組合は損害賠償を求めて徳島市を裁判に訴え、今年4月に高松高裁で和解が成立。市は組合に4億1000万円を支払った。遠藤氏への請求は、この和解金と訴訟でかかった弁護士費用を支払えというものだった。
しかし、市議会での審議では「損失補填として事業主体の市が負担すべきではないのか。市民は提訴に批判的な声が圧倒的に多いと感じている」(公明党議員)など批判的な意見が大勢を占めた。
否決を受けて遠藤氏は「多くの市民のみなさんが、『この提訴はおかしい』と思い、市議会の議員たちを動かしてくれた。裁判となっても絶対に負けないという確信はあったが、議案が否決されてほっとしています」と述べた。
一方、内藤市長は本会議の後、硬い表情で記者団の前に現れ、「議員や市民からいろんなご意見があるということで、そういった声や意見はきちんと受け止めたいと思う」と語ったが、今後の対応については明言を避けた。
(佐藤和雄・編集部、2021年12月24日号)