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立憲民主党がネットメディア「CLP」に資金提供
番組関与の有無は
佐藤和雄|2022年1月14日5:46PM
自由で公正な社会のための「公共のメディア」として、テレビの報道番組や映画、ドキュメンタリーの制作者ら有志が動画番組を制作し、インターネットで配信するプロジェクト「Choose Life Project(CLP)」が一時期、立憲民主党から「番組制作費」として約1500万円の資金提供を受けていたことが分かった。番組の理念に共感し、協力していた出演者の5人が1月5日、この問題を指摘し、抗議したことによって明らかになった。
CLPは、緊急性の高いテーマをめぐる討議、政治家の発言チェック、裁判についての報告など、公共的な問題に関する8種類の番組をインターネット上で、無料で配信してきた。運営のために2020年7月から9月の2カ月間でクラウドファンディングによって約3147万円を集めたほか、現在は毎月一定額を寄付する「マンスリーサポーター」(1月11日時点で1717人)から事業に必要な資金を集めている。
1月5日に抗議文を発表したのは、エッセイストの小島慶子さん、ジャーナリストの津田大介さん、『朝日新聞』記者で前新聞労連委員長の南彰さん、『東京新聞』記者の望月衣塑子さん、フォトジャーナリストの安田菜津紀さん。
抗議文では「この度私たちの調査により、2020年春から約半年間にわたり大手広告会社や制作会社をはさむ形でCLPに立憲民主党から『番組制作費』として1000万円以上の資金提供があったことが確認された」と指摘。そのうえで「特定政党から番組制作に関する資金提供を受けていたことは、報道倫理に反する」「その事実を出演者、クラウドファンディングの協力者、マンスリーサポーターに一切知らせていなかったことは、重大な背信行為」と批判し、謝罪と徹底した検証を求めた。
「私たちの調査により」とあるが、どのようにしてこの問題が発覚したのだろうか。ある出演者によると、運営方針をめぐってCLPの内部で対立があり、それが出演者側にも相談されたことに加え、執行部が交代した立憲民主党の関係者から情報が寄せられたことがきっかけだったという。
【番組関与はあったのか】
CLP共同代表の佐治洋氏は1月6日、CLPのウェブサイトで資金提供を受けていた経緯などを説明した。それによると、(1)クラウドファンディングでプロジェクトに必要な資金を集めるまでの間、企業スポンサーや大口の寄付者を探した。(2)その中で、立憲民主党の福山哲郎参院議員(当時は同党幹事長)に話す機会を得た。(3)「フェイクニュースや不公正な差別が横行する状況に対抗するために新しいメディアを作りたい」という理念に共感していただき、広告代理店・制作会社を通じて番組制作のために支援してもらうことになった――と述べている。
問われるべきはCLPの報道倫理とともに、政党側の資金提供の意図とその手法だ。番組内容に影響を及ぼそうとしたのではないのか、という疑念は、誰しも思い浮かぶ。
福山哲郎参院議員は1月6日、「理念に共感して、自立までの間の番組制作一般を支援したもので、番組内容などについて関与したものでない」と、番組への関与を否定するコメントを発表した。
この点についてCLPのある出演者は「出演者への発言の制限はなく、立憲という特定政党の動きを強調するような番組構成ではなかったと思う。資金提供終了後だが、立憲の本多平直衆院議員(当時)の問題について問うという、立憲に批判的な番組もあった。ただ、『番組内容への介入』という疑惑を払拭するには、第三者による調査が必要だ」と話す。
同党の泉健太代表は1月7日の記者会見で「事実関係を確認しだい、幹事長から説明したい」と述べたが、これはあくまで党による内部調査だ。一方、佐治氏は1月9日、「本件の問題点を総括することを目的として、外部の専門家(弁護士や研究者など)に報告書の作成を依頼する」ことを明らかにした。
(佐藤和雄・編集部、2022年1月14日号)
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