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読売新聞大阪本社が大阪府と包括協定 報道機関として問題は

立岩陽一郎|2022年1月17日8:03PM

 2021年12月27日、大阪府と読売新聞大阪本社が包括連携協定を結んだ。教育・人材育成、情報発信、安全・安心、子ども・福祉、地域活性化、産業振興・雇用、健康、環境などの8分野に加えて、この協定の目的に沿うさまざまな取り組みについて大阪府と『読売新聞』とで連携・協働を促進させ、地域の活性化と府民サービスの向上を図っていくものだという。

会見で包括連携協定書を手に記念撮影に応じる大阪府の吉村洋文知事(左)と読売新聞大阪本社の柴田岳社長。(撮影/立石陽一郎)

 大阪府によると、金融機関や小売業など40を超える企業との間で同種の協定を結んでいるが、新聞社と結ぶのは初めてだという。調べるとメディアではFMラジオ局との間で結んでいるが、新聞、テレビといった報道機関との協定は初めてだ。

 署名式には吉村洋文知事と読売新聞大阪本社の柴田岳社長が出席。署名後の記者会見で、まず吉村知事が「『読売新聞』の力添えをいただきながら大阪一丸となって社会の課題解決に取り組んでいく」とその意義を強調した。続いて柴田社長が「地域社会への貢献は読者の皆さん一人一人に支えられている新聞社として大切な取り組みの一つだと考える」と話した。

 地域貢献という言葉が強調されたが、具体的には何を意味するのか? 会見で語られたのは、児童教育に新聞社のリソースを活かすといった取り組みだった。新聞社の施設見学なども行なうほか、生活情報紙などの『読売新聞』の媒体を活用して大阪府の情報発信に協力するという。しかし、これでなぜ新聞社が行政機関と包括協定を結ぶ必要が有るのかは明確ではない。

 会見に出席した記者からは、当然ながら巨大メディアとメディアが監視すべき行政機関とが手を結ぶという状態について懸念する質問が相次いだ。「報道機関としての中立性はどのように保てると考えるか」との質問に柴田社長は、「取材報道とは一切関係の無い協定となっている」と話した。

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