東京外環道工事の一部差し止め仮処分が決定 東京地裁
佐藤和雄|2022年3月23日12:34PM
2020年10月に東京都調布市で陥没が発生した東京外郭環状道路(外環道)地下トンネルの建設ルート上で暮らす住民らが、シールドマシン(掘削機)による工事の差し止めを、事業を実施する国土交通大臣や「東日本高速道路株式会社」「中日本高速道路株式会社」に求めた仮処分申し立て事件。東京地裁(目代真理裁判長)は2月28日、陥没を引き起こした東名高速道路につながる東名ジャンクション側からの掘削機による工事差し止めを命じる決定を出した。
工事は、外環道の未整備区間である関越自動車道と東名高速道路の間の16・2キロで、大深度法を適用して進められていた。東名ジャンクション側から掘り進められていた工事は、調布市での陥没発生後は再発防止策が策定されていないため、ストップしている。
28日の決定では、東名ジャンクション側からの工事について「具体的な再発防止対策が示されていない状況に変わりない」と指摘。そのうえで「工事の続行によってその居住場所に陥没や空洞が生じる具体的な恐れがあると言わざるを得ない。陥没や空洞が生じれば、家屋の倒壊等を招き、その生命、身体に対する具体的な危険が生じる恐れがある」として、工事差し止めを命令した。
一方、関越自動車道につながる大泉ジャンクション側からの工事については、仮処分を申し立てた住民の居住地域に影響が及ぶものとは認められないとの理由から、差し止めを認めなかった。
仮処分決定を受けて、東京外環道訴訟原告団は3月5日、「事業者は、仮処分決定の趣旨を真摯に受け止めて、全ての工事再開を直ちに中止すべきである。住民合意なしに住民を実験台にして住宅街の地下を掘ってはならない。工事再開による事故の再発の危険性は高く、再度の大惨事を発生させかねない」などとする声明を発表した。
(佐藤和雄・編集部、2022年3月11日号)