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性教育教材サイトオープン
誤った性情報に惑わされないために

神原里佳|2022年3月31日8:58PM

厚生労働省の調査によると、日本での人工妊娠中絶の件数は年間約15万件。そのうち1万件強が20歳未満だ。意図していなかった妊娠は、孤立出産や子どもの遺棄、放置につながるケースもあり、社会問題となっている。こうした背景から、現状では医師の診断が必要な緊急避妊薬の市販化を求める動きが活発になったり、2021年に経口中絶薬が日本で初めて承認申請されたりと、近年、女性の「産む・産まない」の選択について関心が高まりつつある。

「自分が望む人生を切り開いていけるよう、自分の権利と性について早期から学ぶことが重要です」

そう語るのは、NPO法人ピルコン理事長の染矢明日香さんだ。意図せぬ妊娠で悩んだ自身の経験から、性教育の出張授業などの活動を行なっている。

2月8日、ピルコンが日本初となる包括的性教育教材ポータルサイト「ライフデザインオンライン」をオープン。11日に記念イベント「自分らしく生きるチカラを育む、探求型学習を授業づくりに活かすには」をオンラインで開催した。

「ライフデザインオンライン」では、学生の主体性を重んじた対話型学習のための教材を中心に提供する。

ライフデザインオンラインは、教員向けに性教育の動画やスライド教材などのコンテンツを提供するほか、トラブルや悩みのある生徒の相談支援先の情報提供も行なう。染矢さんは開発の背景について、「コロナ禍で性教育の場が減ったこともあり、10代の妊娠相談が増えています。学校を安心・安全な性を学ぶ場にしていきたいけれど、教員から『教材が十分にない』『どうやって教えればよいかわからない』という声が多く聞かれました。そこで、教材や研修プログラムを提供し、性教育の環境整備をしたいと考えました」と語る。

イベントでは、サイトのプログラム監修者で、『国際セクシュアリティ教育ガイダンス 教育・福祉・医療・保健現場で活かすために』(ユネスコ編、明石書店)の翻訳者の1人である埼玉大学基盤教育研究センター准教授の渡辺大輔氏が基調講演。現在の小学校・中学校の学習指導要領の内容に触れ、保健体育をはじめ幅広い教科の教科書において“性の多様性”の取り扱いが増えていることについては一定の評価をした。

性行為を教えない性教育ってどうなの?

一方で、「受精については取り扱うが、妊娠の過程については取り扱わない。生物の有性生殖についてカエルを例として学ばせるなど、圧倒的に人間の身体についての学習内容が少ない。妊娠の過程は教えないのに、性感染症の予防にコンドームが有効と記述するなど矛盾も見られる。また性別二元論や異性愛が前提になっており、性自認や性的指向の多様性について指導要領に入れないなど、現代の子どものニーズに合っていない」と問題点を指摘した。

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