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成人年齢引き下げで懸念
10代のAV強要救済困難に
宮本有紀|2022年4月1日9:00AM
民法改正により、4月1日から成人年齢が20歳から18歳へと引き下げられる。これにより、飲酒・喫煙や競馬・競輪など20歳解禁が維持される一部以外は18歳から成人として扱われる。つまり、これまでは20歳未満で契約したものは親などの法定代理人の同意がなければ取り消すことができたが、今後はそれが18歳未満になる。そのため、アダルトビデオ(AV)への出演を強要され、言葉巧みに契約させられても、これまでは18歳、19歳であれば「未成年者取消権」で救済できたが、4月1日からはそれができなくなるという問題が指摘されている。
AV出演を強要された人たちの相談を受け、画像削除要請活動も行なってきたNPO法人「ぱっぷす」や、被害者救済活動をしてきた国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、「このままでは女子高生の性暴力被害が深刻になる」として3月23日に衆議院第二議員会館で緊急院内集会を開催。18歳や19歳も契約後に取り消しができる法制度を創設するよう求めた。
ぱっぷすの金尻カズナ理事長は、プロダクション側が芸能関係に関心のある若い女性に声をかけて仕事は選べるからと契約させたあとにAV出演に追い込む事例を解説。「嫌だと言っても、身元はおさえられて圧力をかけられ、言葉巧みに頑張りますと言わされる。そして、その言葉をラインで送ってよと言われて(出演意思のある)証拠にされる。逆に、事業者側の脅しなどは電話や話し言葉で証拠に残らない」と実態を説明し、「これまでは出演意思がなかったことを証明しなくても未成年者取消権で契約を取り消すことができたが、それができなくなると契約取り消しには裁判手続きが必要になる。出演意思がなかったことを立証できず取り消せなくなる」と、早急な対策を訴えた。
伊藤和子弁護士も「詐欺罪や強制性交等罪を訴えて契約を取り消せるかというと難しい。同意で行なわれたと主張される」と指摘。「18歳19歳が未成年者取消権からはずれてしまったら、明日にも被害が発生するかもしれない」と懸念を表明した。