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ジェンダー表現ガイドブック
新聞労連内チームが執筆
宮本有紀|2022年4月23日9:00AM
日本新聞労働組合連合(新聞労連)内の有志が、3月22日に『失敗しないためのジェンダー表現ガイドブック』(小学館)を発刊した。発売前の3月6日には、本の意義やメディアの抱える課題などを語り合うオンラインイベントを開催。吉永磨美新聞労連委員長が「新聞労連は男性ばかりが役員だったので、特別中央執行委員という女性の役員制度を導入。その10人の役員がジェンダー表現について語り合う中で、男女格差や性的役割分業に根ざした表現について問題意識を共有。記事を書く際に、その表現でいいのかを考えるきっかけになる指針・ガイドブックが作れないかと話し合い、本作成へと発展した」と説明した。
執筆者は、20代から50代までの男女20人。新聞記者、フリーランスジャーナリスト、デジタル発信の担当者などさまざまなメディアの現場で働く人が関わったという。イベントにはそのうち4人が登場し、参加者とも意見交換した。
「美しすぎる○○」「ママアスリート」はどこが問題か、女性が選挙に出るときに「夫は何と言ったか」と記者が質問するが、男性には「妻は何と言ったか」と聞かないという非対称性など、指摘される点は多岐にわたる。執筆者らは、「事件記事で匿名にする場合に『逃げた60代の男』『亡くなった女性』と書いているが性自認を確かめたわけではない。どうしたらいいのか答えはでていない」「このガイドブックは、こう言い換えればいいよというものではなく、正解がないものもある。こういう言い方もできるのではないか、もしくは記事の内容自体を再考することも必要ではないかという投げかけとして捉えていただけたらと思う」と発言。単純な言い換えで終わるのではなく、思考停止せずに表現の意義ひいては報道の意義を考えたいとの思いが語られた。
(宮本有紀・編集部、2022年4月1日号)