石川優実さん、控訴審も勝訴
#KuToo批判ツイートの引用は「著作権侵害」にあたらず
小川たまか|2022年4月23日10:30AM
アクティビストで俳優の石川優実さんが、著書で引用したツイートの投稿者から著作権と名誉感情を侵害されたとして訴えられた裁判の控訴審で、知財高裁は3月29日、一審に続いて原告の控訴を棄却した。原告は損害賠償約220万円と出版の差し止めを求めていた。
石川さんは女性のみにパンプスの着用を義務づける規則などに抗議する社会運動#KuTooの発起人で、2019年11月には『#KuToo:靴から考える本気のフェミニズム』(現代書館)を出版。石川さんや#KuTooの活動について寄せられたクソリプ(「クソ」みたいな「リプライ」を意味するインターネット上の造語)を多数引用し、反論や論評をしている。
同書に引用された原告のツイートは〈逆に言いますが男性が海パンで出勤しても#kutooの賛同者はそれを容認するということでよろしいですか?〉というもの。これは#KuTooへの賛同を表明した別のアカウントとのやり取りの中で投稿されたツイートだった。
原告は、石川さんへの直接のリプライではないものを「クソリプ」とされたことによる著作権・名誉感情の侵害や、「#kutoo」表記を「#KuToo」と変えて掲載されたことについての同一性保持権の侵害を訴えていた。
一審判決では、同書でのツイート掲載は著作権で認められた「引用」の範囲内に該当すると判断。原告のツイートは#KuTooを非難・中傷するツイートに該当し、同書の引用目的に当てはまるものと認めた。また、表記については誤記であり、同一性保持権の侵害に当たらないとした。控訴審では原告が新たに、著作者人格権のみなし侵害に基づく損害賠償として110万円の追加請求をしたが、裁判所はすべて認めなかった。
判決日にオンラインで行なわれた会見で、石川さんと現代書館の代理人を務めた神原元弁護士は「原告の主張は何一つ認められていない」と「全面勝訴」を強調。「石川さんが女性でフェミニストだから論理的思考ができない、著作権法をわかっていない、という偏見から起こされた訴訟である気がして仕方ない」と印象を語った。