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パートナーシップ制度
福岡・秋田で4月から導入
神原里佳|2022年4月29日9:00AM
福岡県と秋田県が4月1日、同性カップルの関係を公的に認めるパートナーシップ宣誓(証明)制度を導入した。現在、日本全国で209の自治体がパートナーシップ制度を導入(予定も含む)しており、都道府県では6例目。これまでに茨城、大阪、群馬、佐賀、三重の順で導入している。
同性カップルは家族として賃貸住宅への入居が困難であったり、入院や手術が必要になった際にパートナーが家族と認められなかったりと、社会生活をおくるうえで多くの障壁がある。同制度はそんな同性カップルが抱える障壁の解消をめざすもの。双方または一方が性的マイノリティであれば、県に届け出をして「パートナーシップ宣誓書受領証」を取得することで、公営住宅の入居申込などの行政サービスを受けられるようになる。
九州では佐賀県に続いて2番目となる福岡県内ではすでに福岡市、北九州市、古賀市など4市1町が同様の制度を導入しているが、制度のない市に転居すると権利がなくなるという問題があった。だが、県の導入でこれも解消される。福岡県の人権・同和対策局調整課調整係の担当者によると、4月1日以降15組が宣誓の予約をしており、うち7組がすでにカードを取得(4月20日現在)。当事者から「関係を認められて嬉しい」などの声が寄せられていると言う。
同制度で利用できるサービスには公営住宅の入居申込のほか、県住宅供給公社の賃貸住宅の入居申込や、県立太宰府病院、大牟田市立病院などにおける病状説明・治療方針の同意、生活保護申請などがある。県担当者は「民間の不動産業者や銀行、医療機関などにも協力を要請しており、制度を普及させていきたい」と話している。
福岡市を拠点に性的マイノリティへの支援活動や情報発信を行ない、県との意見交換会にも参加するNPO法人Rainbow Soup(レインボースープ)代表の五十嵐ゆりさんは「コロナ禍でもあり、自分やパートナーが入院したら、と不安を募らせる同性カップルは多い。今回の福岡県パートナーシップ宣誓制度は、カードの裏面に病状説明や治療方針の同意取得について記載する欄があるなど、当事者の声をよく反映してくれていると思う。制度ができたことで『この町に住んでいいんだ』『安心して暮らしていける』と希望を持てるようになった人もいる」と高く評価する。
制度の導入については、2021年に就任した服部誠太郎知事が積極的であったこと、また同年8月に隣の佐賀県が先に導入したことも今回の動きにつながっているのではないかと見る向きもある。五十嵐さんは「パートナーシップ制度を導入した自治体は首長の関心の高さもあるが、やはり市民が声をあげていくことが大事。市民が要望書を出したことで、導入に動きだした自治体もある」と指摘する。