竹田恒泰氏の敗訴確定
「差別主義者」ツイートに違法性なし
佐藤和雄|2022年5月14日5:46AM
明治天皇の玄孫(孫の孫)で作家の竹田恒泰氏が、ツイッターに「人権侵害常習犯の差別主義者」などと書かれ名誉を傷つけられたとして、戦史・紛争史研究家の山崎雅弘氏に損害賠償などを求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は4月13日付で、竹田氏の上告を退ける決定をした。これにより一、二審の「(竹田氏の)社会的評価を低下させるものであったとしても、公正な論評ないし意見の表明として違法性を欠くものであるというべきである」として請求を棄却した判決が確定した。
2021年2月の東京地裁判決と同年8月の東京高裁判決によれば、山崎氏は19年11月、富山県朝日町教育委員会が中高生らを対象にした講演会に竹田氏を講師として招くことについてツイッターで「この人物を招いて、町内の中・高校生に自国優越思想の妄想を植え付ける講演をさせる富山県朝日町の教育委員会に、教育に携わる資格はないだろう」「この人物が教育現場に出してはいけない人権侵害常習犯の差別主義者だとすぐわかる」などと投稿した。
東京地裁の判決は、竹田氏の著作である『笑えるほどたちが悪い韓国の話』『面白いけど笑えない中国の話』の内容について「自国を優越的に捉えた上で、他国民・他民族を劣位に置き、『笑い』の対象とする意識が看取される」と指摘していた。
また、東京高裁判決でも地裁の判決内容をほぼ踏襲したうえで、竹田氏の活動や言動に関し、山崎氏が「『人権侵害常習犯の差別主義者』等の強い表現を用いて批判的な意見ないし論評を表明したことも、ツイートとして相当と認められる範囲内にとどまるというべきである」などの理由から違法性はないとの判断を示していた。
この裁判では有志による「山崎雅弘さんの裁判を支援する会」が発足。内田樹氏が代表よびかけ人となり、支援を続けてきた。
(佐藤和雄・編集部、2022年4月29日・5月6日合併号)