「基準地震動は合理性を欠く」
宗教者が原告の核燃サイクル事業廃止訴訟で指摘
脱原発弁護団全国連絡会|2022年8月4日7:00AM
脱原発弁護団全国連絡会からの7月の報告 その1
全国の宗教者や信仰者が原告となり、六ヶ所再処理工場の運転差し止めを求めている「宗教者が核燃料サイクル事業廃止を求める裁判」の第4回口頭弁論期日が7月7日、東京地裁(加本牧子裁判長)で開かれた。
コロナ禍と、非公開の手続きが続き、前回の口頭弁論期日(2021年10月7日)から9カ月ぶりの期日。
法廷ではまず、北村賢二郎弁護士が、被告日本原燃(増田尚宏社長)の地震動評価が不合理であることを説明した。
日本原燃は、プレート間地震の検討用地震として、東北地方太平洋沖地震を想定し、当該地震を踏まえた地震の震源から93キロ、強震動生成域からは35キロの距離にある再処理工場で、地震動は236ガルが上限になると主張している。
ところが、実際の観測記録と対比すると、再処理工場の基準地震動である700ガル以上の地震動が全国34カ所で観測され、想定地震の上限236ガル以上の地震動も158カ所ある。このなかで一番低い地震動は239ガルだが、その観測地点は、震源から328キロ離れている。
すなわち、被告の想定は、観測記録の場合より、距離は3分の1震源に近づくのに、地震動は、3倍離れた観測記録の場合とほとんど変わらないのである。
その他、原発(解放基盤表面)での観測記録などとも比較し、被告のプレート間地震の検討用地震の想定は、信頼性や合理性を欠き、236ガルも、基準地震動700ガルも不合理であると断じた。
仙台市法運寺(日蓮宗)の住職を務める原告の梅森寛誠さんは、3・11の震災直後は女川原発(宮城県女川町、石巻市)に通じる全ての道路が寸断され、避難は絶望的で、住民が閉じ込められることを実感したと述べた。そして、釈尊が増上慢の人々を厳しく叱責した「法華経」を紹介し、おごりをもって核に手を染め、慢心により取り返しのつかない過ちを犯したと断じた。
(2022年7月29日号)