考えるタネがここにある

週刊金曜日オンライン

  • YouTube
  • Twitter
  • Facebook

, , ,

【タグ】

「基準地震動は合理性を欠く」
宗教者が原告の核燃サイクル事業廃止訴訟で指摘

脱原発弁護団全国連絡会|2022年8月4日7:00AM

脱原発弁護団全国連絡会からの7月の報告 その1

東京地裁正門前でマイクを持つ原告・梅森寛誠さん。

 全国の宗教者や信仰者が原告となり、六ヶ所再処理工場の運転差し止めを求めている「宗教者が核燃料サイクル事業廃止を求める裁判」の第4回口頭弁論期日が7月7日、東京地裁(加本牧子裁判長)で開かれた。

 コロナ禍と、非公開の手続きが続き、前回の口頭弁論期日(2021年10月7日)から9カ月ぶりの期日。

 法廷ではまず、北村賢二郎弁護士が、被告日本原燃(増田尚宏社長)の地震動評価が不合理であることを説明した。

 日本原燃は、プレート間地震の検討用地震として、東北地方太平洋沖地震を想定し、当該地震を踏まえた地震の震源から93キロ、強震動生成域からは35キロの距離にある再処理工場で、地震動は236ガルが上限になると主張している。

 ところが、実際の観測記録と対比すると、再処理工場の基準地震動である700ガル以上の地震動が全国34カ所で観測され、想定地震の上限236ガル以上の地震動も158カ所ある。このなかで一番低い地震動は239ガルだが、その観測地点は、震源から328キロ離れている。

 すなわち、被告の想定は、観測記録の場合より、距離は3分の1震源に近づくのに、地震動は、3倍離れた観測記録の場合とほとんど変わらないのである。

 その他、原発(解放基盤表面)での観測記録などとも比較し、被告のプレート間地震の検討用地震の想定は、信頼性や合理性を欠き、236ガルも、基準地震動700ガルも不合理であると断じた。

 仙台市法運寺(日蓮宗)の住職を務める原告の梅森寛誠さんは、3・11の震災直後は女川原発(宮城県女川町、石巻市)に通じる全ての道路が寸断され、避難は絶望的で、住民が閉じ込められることを実感したと述べた。そして、釈尊が増上慢の人々を厳しく叱責した「法華経」を紹介し、おごりをもって核に手を染め、慢心により取り返しのつかない過ちを犯したと断じた。

(2022年7月29日号)

【タグ】

●この記事をシェアする

  • facebook
  • twitter
  • Hatena
  • google+
  • Line

電子版をアプリで読む

  • Download on the App Store
  • Google Playで手に入れよう

金曜日ちゃんねる

おすすめ書籍

書影

増補版 ひとめでわかる のんではいけない薬大事典

浜 六郎

発売日:2024/05/17

定価:2500円+税

書影

エシカルに暮らすための12条 地球市民として生きる知恵

古沢広祐(ふるさわ・こうゆう)

発売日:2019/07/29

上へ