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東京・千代田区の監査請求却下に裁判所が異議
区民の請求認め裁判続行
岩本太郎|2022年8月12日5:20PM
東京都千代田区が区内の再開発ビル「東京ミッドタウン日比谷」に所有する土地と建物の一部を、三井不動産が他の企業などとともに2015年に設立した一般社団法人日比谷エリアマネジメント(エリマネ)に無償貸与し同法人が多額の利益を得ているとして、地元住民が樋口高顕区長を訴えた裁判(本誌3月25日号で既報)の第3回期日が6月15日にあった。
この裁判で原告は、16年に区がエリマネとの間で結んだ使用貸借契約(20年間)に関して、被告が(1)契約条項に基づく見直し協議を行なっていないこと、(2)締結当時の石川雅己区長と坂田融朗まちづくり担当部長(現副区長)に損害賠償請求を行なっていないこと、の2点が違法だと訴えた。この件で原告は区に住民監査請求を行なったが「請求期間(1年間)が過ぎた不適法な請求」として昨年10月までに却下され、翌月提訴した。
この日の法廷で東京地裁の市原義孝裁判長は「当初中間判決の形を取ることも考えたが、まずこの場で裁判所の考えをお伝えする」と前置きしたうえで、(1)については請求期間による制限は及ばないとして審理対象に、(2)は請求期間による制限が及ぶと考えて審理を制限する、との判断を示した。
つまり区が住民からの監査請求で実質“門前払い”とした2点のうちの1つが裁判所の審理事項として認められたわけだ。閉廷後に原告側が開いた報告集会で、原告代理人の大城聡弁護士は「これでようやく中身の議論に入ることができる」と歓迎。(2)は「認められなかったが完全に却下されたわけではない」と、審理の中で必要に応じて提示していくとした。
エリマネは区からタダで借りた物件のテナント賃料などで「年間約6000万円もの利益を上げている」(大城氏)とされる。この問題を追及してきた同区の小枝すみ子議員も「第一関門が突破できた」と集会で喜びを語った。次回は9月8日午前11時、東京地裁103号法廷で開かれる。
(岩本太郎・編集部、2022年6月24日号)