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広がる「国葬反対」
東京・新宿デモに1200人
JCJ「メディアも反対を打ち出せ」

岩本太郎・編集部|2022年9月12日10:08AM

夜の新宿駅周辺を1000人を超すデモ参加者が一周した。(撮影/岩本太郎)

 8月16日の夕刻、東京・新宿で「安倍『国葬』やめろ!緊急市民集会実行委員会」主催による集会とデモが開かれた。ルポライターの鎌田慧さん、作家の落合恵子さんらの有志が呼びかけたもので、立ち上げから開催まで実質1~2週間程度だったが、主催者発表で集会には約850人が参加した。

 新宿駅西口の一角をぎっしり埋める格好で18時に始まった集会では飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)、鎌田さん、落合さん、佐高信さん(評論家)、前川喜平さん(現代教育行政研究会代表)、永田浩三さん(ジャーナリスト、武蔵大学教授)が発言。飯島さんは自民党と統一教会系団体の改憲案が酷似していることを指摘し「国葬決定の背景に憲法改正の目標があり、国民投票の際に統一教会の支援を受けるのでは」と述べた。

 鎌田さんは「一人の人間の死は悲しむべきだが、反対意見を全部排除し、日本を軍事強化の方向へ持っていった元首相の死を僕たちがどうして悼む必要があるのか」、落合さんは「安倍元首相に生きててほしかった。訊きたいことが山ほどあった。『モリ・カケ・桜』、何一つ疑惑は解明されないままに国葬するんですか」、永田さんはNHK番組改竄事件や、財務省の赤木俊夫さんの死に触れ「安倍さんの周りは死屍累々、『一将功成りて万骨枯る』。そんな彼を国葬で送ってもよいのでしょうか」と訴えた。また、右翼団体「一水会」代表の木村三浩さんは国葬の狙いを岸田文雄首相の保守層取り込みと自民党内反主流派抑制にあるとして、「個人の追悼より自己保身を優先する岸田政権の点数稼ぎの措置に利用されてはならない」とのメッセージを集会に寄せた。

東京・新宿駅前で開かれた国葬反対集会。鎌田慧さんや落合恵子さん(右端)が冒頭であいさつした。(撮影/岩本太郎)

日本ジャーナリスト会議も「国葬反対」声明

 続いて行なわれた新宿駅周辺を一周するデモの参加者は集会よりさらに増えた約1200人(主催者発表)に。参加者たちはそれぞれ「国葬反対」「返せ37億円」「統一協会広告塔の国葬まっぴら」などさまざまなメッセージを描いた横断幕やプラカードを掲げながら行進した。「日の丸」の旗を掲げて参加していた男性(57歳)は「これを見て安倍支持の人たちにも関心を持ってもらいたい」と、国葬反対は思想や立場を超えて共感できるテーマだと強調。「コロナ国葬統一教会 もうこの国はぶっこわれ」との幟を掲げていた川柳作家で、国会周辺での反原発デモなどにも長らく参加してきた乱鬼龍さんは「反対の声の高まりには政権も脅威を感じているはず。むしろ市民運動や政治団体の動きが鈍く、今回のような有志による運動が全体をリードしている」と語った。

 国葬反対集会は今後も8月27日の新宿西口前など東京はもとより各地でもさまざまな主催者による開催予定が続々公表されている。メディア界でも日本ジャーナリスト会議(JCJ)が8月8日に、「戦前の遺物『国葬』にメディアは明確に反対を」との声明を発表。

〈主要メディアの「国葬」に対する姿勢はあいまいだ。「国葬」は天皇主権の明治憲法体制の遺物であり、国民主権・民主主義とは相いれないという立場を、報道機関は明確にし、人々に伝えるべきではないか〉〈「国葬」への抗議行動が監視や取り締まりの対象になる恐れがないと言えるだろうか。また今後、「国葬」に類する政治的行事が乱発される危険はないだろうか。「国葬」強行は、戦前回帰、異論封殺、国民総動員につながりかねないという危機感を持って、報道機関は取材に当たってほしい〉と求めた。

(『週刊金曜日』2022年8月26日号)

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