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あの杉田水脈議員が総務政務官に就任
岸田政権は差別を容認するのか

佐藤和雄・編集部|2022年9月15日7:00AM

杉田水脈議員。(自民党の公式ホームページから)

 岸田文雄政権は8月12日、内閣改造にともない副大臣26人と政務官28人の人事を発表した。普段であれば、副大臣と政務官の人事はさほどの関心は呼ばない。しかし、今回は違った。衝撃が広がったのは数々の問題発言、差別発言で知られる杉田水脈・自民党衆院議員(当選3回、中国ブロック選出)が総務政務官に起用されていたからだ。杉田氏が行政府の要職に就任するのは今回が初めて。ツイッターではキーワードを示す「#杉田水脈氏の総務大臣政務官起用に抗議します」をつけた抗議のツイートが増え続けている。

 政務官とは、国家行政組織法などで「大臣政務官は、その省の長である大臣を助け、特定の政策及び企画に参画し、政務を処理する」と定められている。大臣、副大臣と違って何をしているかよく分からない役職だが、報酬は特別職の国家公務員では上から4番目のクラスで、年間約2385万円(2022年4月時点)にのぼる。

 杉田氏の担当業務は、自身の8月15日の就任記者会見によれば、「行政管理、行政評価、そして統計ということになります」という。

 杉田氏の問題・差別発言をリスト化すると、とても1ページで収まりきらないのでジェンダーや性の多様性問題に関する主なものを下の表にまとめた。これを眺めると、男女共同参画基本法の廃止を求め、「『LGBT』支援の度が過ぎる」などと主張してきた人物が、自治体の男女共同参画社会実現に向けた施策の「行政評価」などができるのだろうか、と危惧を覚えざるをえない。

 杉田氏は就任記者会見で性的マイノリティについて「生産性がない」などと発言してきた問題を問われ、「私は過去に多様性を否定したこともなく、ある性的マイノリティの方々を差別したこともございません」と述べた。「なぜ男と女、二つの性だけではいけないのでしょう」と、雑誌に書いたのは4年前のことである。その言葉は差別ではないのか。

 より厳しく問われるべきは、そんな人物を政務官に起用した岸田首相の政治姿勢だろう。人事が発表された12日の夜、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんはツイッターでこう批判した。

「ヘイトや差別を吐き散らしてきた人物を政権の要職に起用することは、差別問題など考慮するに値しない、というメッセージになってしまうし、もっといえば、その差別やヘイトの矛先を向けられている人たちの命を『二の次』扱いするようなこと。『杉田氏でなければならない』理由は何なのか」

(『週刊金曜日』2022年8月26日号)

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