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「第2陣で最高裁判決をひっくり返す」
福島生業訴訟で大規模追加提訴
牧内昇平・フリーランス記者|2022年9月17日7:00AM
東京電力の福島第一原発事故をめぐる「国の法的責任」を問い、福島地裁に提訴した「生業訴訟」の第2陣は9月5日、新たに473人の原告が追加提訴した。同訴訟の第1陣を含む4件(他は群馬・千葉・愛媛)の集団訴訟は今年6月17日に最高裁で「国の責任を認めない」判決が言い渡されている。生業訴訟の原告団・弁護団は「第2陣で最高裁判決をひっくり返す」と意気込んでいる。
今回提訴したのは事故当時に福島県南相馬市や浪江町、富岡町などに住んでいた人たち。福島市や郡山市など避難指示が出なかった地域の住民も含む。生業訴訟原告団は最高裁で敗れた第1陣(2013年に提訴)に4000人弱が加わっていた。今回の追加提訴により、16年に提訴した第2陣の原告数も1600人を超えた。
同日福島地裁で開かれた口頭弁論では、事故当時大熊町に住んでいた女性が意見陳述を行なった。女性は時折涙ぐみながら「ずっと国が原発を認めてやってきたのに、東電にだけ事故の責任を負わせるのは本当に情けない。そのような無責任な態度をとることが許されるのでしょうか」と語った。
最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)が6月に言い渡した判決は、最大の争点だったはずの「事故の予見可能性」について判断が示されていないなど、不十分な点が多い。三浦守裁判官が明確に国の責任を認める反対意見を書いたことも知られている。現在も全国の地裁、高裁で同種の訴訟が続いており、その中から最高裁の判断を覆す判決が出てくるかが今後の焦点となる。
生業訴訟原告団・弁護団も第2陣での逆転を狙い、最高裁判決後も県内各地で原告募集の説明会を開いてきた。今後も来年1月の口頭弁論期日に合わせて、さらに追加提訴する方針だという。最高裁で敗れた第1陣も原告団を解散せず、第2陣を支援する。
(『週刊金曜日』2022年9月16日号)
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