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原発マネー不正還流事件
市民団体の新たな告発

粟野仁雄・ジャーナリスト|2022年9月18日7:00AM

 関西電力の原発マネー不正還流事件に関する大阪第二検察審査会議決(8月19日号既報)を受け、市民団体「関電の原発マネー不正還流を告発する会」が9月6日、同社の豊松秀己元副社長ら3人の元幹部を新たに特別背任容疑などで大阪地検と最高検に告発した。

9月6日、大阪市内で開かれた告発弁護団らによる記者会見。(撮影/粟野仁雄)

 告発事案は4月に関電の「コンプライアンス委員会」が明らかにした三つの不正「土砂処分問題」「土地貸借問題」「倉庫問題」のうち前2者。関電が福井県高浜町の森山栄治元助役(故人)と関係の深い同町の建設会社「吉田開発」に対し、森山氏からの発注要求に応じて町内の土砂処分事業を元請けを通じて1立方メートルあたり3400円で発注。吉田開発は下請けの地元業者に同2380円でこれを発注して利益を得た。また吉田開発の関連会社が関電に町内の土地を駐車場として貸した際、適正賃料が月17万5000円の土地を同120万円という過大な賃料で貸していた。

「告発する会」の弁護団は今回、昨年11月に大阪地検が同事件に関して不起訴とした事案でも改めて起訴を求めた。河合弘之弁護団長は「大阪地検の検事の一人は『取引がありすぎてどれが不正かわからない』と不起訴理由を説明したが、コンプライアンス委員会の民間弁護士が簡単に見つけられる不正を強制捜査権を持つ検察に見つけられないはずはない」。海渡雄一弁護士も「検察審査会の議決による強制起訴では過去の判決を見てもほとんど有罪にならない。検察が起訴しなくては」と語った。

「告発する会」は同日に大阪地検特捜部長あてに出した要請書で「大阪地検で要職を務めたOBが関電の監査役等に就任し、今も佐々木茂夫元大阪高検検事長が関電取締役を務めて関電に検察対策を指南しているからではないか」と指摘。加納雄二弁護士は「大阪地検OBは後期高齢者(注:佐々木氏は現在77歳)まで関電に雇ってもらえるんですよ」と皮肉った。

(『週刊金曜日』2022年9月16日号)

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