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法廷で少女の体は震えていた
311子ども甲状腺がん裁判での証言

鈴木博喜・『民の声新聞』発行人|2022年9月19日7:00AM

 小児甲状腺がんを罹患したのは福島第一原発事故で放出された放射線による被曝が原因だとして今年1月、事故当時に福島県内で生活していた17歳から28歳の若者6人(その後1人が追加提訴)が東京電力に損害賠償を求めた「311子ども甲状腺がん裁判」の第2回口頭弁論が9月7日、東京地裁(坂本三郎裁判長)で開かれた。

9月7日、東京地裁に入廷する原告団。(撮影/鈴木博喜)

 今回は原告側が第2準備書面を、被告側は第1準備書面を陳述。17歳の女子高校生が、プライバシー保護のため遮蔽された証言台で意見陳述した。幼稚園の年長時代に被災し、福島県の浜通りから避難。中学1年生(13歳)の時に学校で受けた甲状腺検査でがんと診断された。昨年再発し、再手術で甲状腺を全摘出したという。将来の医療費負担や生活への不安が大きい。薬の服用、定期的な受診が今後も続く。

「恋愛も、結婚も、出産も、私とは縁のないもの」

「高校生活は、青春を楽しむというよりは、安定した将来のため、大学進学のために学校推薦をもらうための場」

 原告代理人の北村賢二郎弁護士によると、そう語る少女の体は震えていたという。

 この日は約160人もの傍聴希望者がやってきたが、口頭弁論が開かれた806号法廷の傍聴席はわずか25席。次回期日は11月9日だが、裁判所は今後も大法廷を使わない意向で、来年1月以降の弁論期日では原告の意見陳述すら認めない方針という。

「『本人尋問があるだろう』という理屈だが、意見陳述と本人尋問では意味合いが違う」(原告弁護団長の井戸謙一弁護士)

 しかも大法廷以外にはスピーカーがないという。手術の影響や緊張により大きな声を出せない原告もいる。「大法廷で直接、声を届けたい」との原告の想いを東京地裁は無視し続けるのか。弁護団は今後も大法廷での審理を求めていく。

(『週刊金曜日』2022年9月16日号)

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