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担任教諭も不安な気持ち
都立高入試のスピーキングテスト導入

村上朝子・フリーランスライター|2022年9月20日7:00AM

 東京都の公立中学校3年生約8万人を対象に11月に実施予定の英語のスピーキングテスト(5月27日号既報)について導入見直しを求める会が9月10日に江戸川区で学習会を開催。現場の教諭や保護者から懸念の声が相次いだ。

9月10日、学習会でスピーキングテストの問題点を説明する久保野雅史さん(正面奥)。(撮影/村上朝子)

 スピーキングテストは東京都教育委員会の事業だが、運営はすべて㈱ベネッセコーポレーションに委託され、採点の仕方など詳細は明らかにされていない。テスト結果は調査書(内申書)に記載され、都立高校の入試に活用される。英語教育の専門家や教諭などを中心に反対の声が強いが、都教委は見直しをせず、今月6日が申し込みの締め切りだった。

「都立高校入試へのスピーキングテスト導入の見直しを求める会」の柏村みね子さんは元中学校教諭で江戸川区在住。区の住民や議員にもこの問題を知ってもらいたいと学習会を企画した。都議と区議11人を含む55人が参加した。

 まず、英語教育学が専門の久保野雅史・神奈川大学教授がテストの配点の不公平さや不受験者扱いの不公平さ、民間業者に丸投げする問題点などについて説明した。強調したのが進路決定に混乱をきたす可能性だ。志望校の決定は通常12月までに行なうが、同テストの結果が届くのが1月中旬なので、そこから志望校の変更を迫られる生徒が出てくるかもしれないと指摘した。

 中学3年生の担任の教諭は「先日1回目の三者面談を終えましたが、こんなに不安な気持ちで進路指導をするのは初めてでした」と苦悩を語った。また、中学3年生の娘がいる女性は「(受験)登録をしないと0点になると言われ、渋々登録しました。するとすぐベネッセからダイレクトメールがきたのです」と話した。スピーキングテストの登録情報は適正に管理されることになっているが、情報漏洩や、異なる目的に利用されるのではないかとの懸念は強い。

(『週刊金曜日』2022年9月16日号)

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