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霊感商法対策弁護士連絡会が声明
「統一教会に解散命令を!」
本田雅和・編集部|2022年9月30日3:49PM
さらに教団側の民法上の不法行為責任を認めたいくつもの判決をあげたうえで、2007~10年には全国各地で特定商取引法や薬事法違反による刑事摘発も相次いでいることに言及。中でも「姓名鑑定」や「先祖の因縁」を理由とした印鑑などの売りつけが問題とされた「新世事件」では、「役員も販売員も全員が統一教会信者」「手法が信仰と渾然一体となっているマニュアルや講義」「相当高度な組織性が認められる継続的犯行の一環」(09年11月、東京地裁)などと認定されている。
解散に消極的だった行政庁
弁護士らは「こうした団体に国が(宗教)法人格を認め、税制上の優遇措置を享受させているのは明らかにおかしいのではないか」と疑問を投げかける。そのうえで、所轄官庁が解散命令を裁判所に請求するための調査を行なう根拠である、宗教法人法78条の2の「報告・質問権」も「適切に行使する責務がある」と強調した。
日本の官庁はこれまで「リンチ殺人や拉致監禁殺害を繰り返した『オウム真理教』のように幹部らに刑事上の犯罪行為がない限り、宗教法人の解散請求は困難だ」との見解から、宗教団体の解散には消極的だった。しかし、弁護士らはこれについても、「過去の(戦前、明治憲法下の政府による)宗教弾圧の歴史、とりわけ我が国における戦前の国家神道の弊害を踏まえたものと考えられる」が、宗教法人法81条1項1号にいう「法令」は逐条解説でも「あらゆる法律、命令・条例などを指す」とされており、「刑罰法規違反に限定されていない」と主張する。
それでも一部の弁護士は、官庁による解散請求には既存の大手宗教団体からの反発も十分に予想されると懸念した。もちろん信教の自由が重要な人権であることは間違いないが、他人の権利や自由を侵害するときは、当然「公共の福祉」の制約を受けるだろう。
宗教法人法には解釈規定もある。86条にいわく「この法律のいかなる規定も、宗教団体が公共の福祉に反した行為をした場合において他の法令の規定が適用されることを妨げるものと解釈してはならない」。
対策弁連は、これを同法1条に規定する「宗教活動の保障」や「信教の自由」の解釈の「妥当な範囲」としたうえで、統一教会問題を「国によって法人格を付与された宗教団体」が「違法な伝道・教化活動を長年にわたり継続し、おびただしい経済的・精神的被害を生じさせ、教団を維持拡大してきた。公共の福祉が著しく害されている事実は明らか」で、「所轄庁は法に基づいて与えられた権限を積極的に行使するべきである」と結論づけている。
被害者支援体制の確立を
声明では、ほかに①フランスの「反セクト法」をはじめとした欧州各国でのカルト規制を例に基本法の制定も視野に入れた法整備、②社会全体で親が信者である「2世」の問題に向き合い、助けを求める被害者の声をすくい上げることができていれば安倍氏銃撃も防げたとの認識の下、2世問題を児童虐待問題と位置づけての施策の実施、③学校における対策や教育、④カルト問題に苦しむ者や家族へのサポート体制の確立、などを求めている。
(『週刊金曜日』2022年9月30日号)
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