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関西電力原発7基の運転差し止め裁判
福島からの避難者が被害の実態について証言
次回は滋賀県米原市長が証言

瓜生昌弘・福井原発訴訟[滋賀]を支える会事務局長|2022年10月4日7:00AM

 関西電力が福井県に設置している原発7基の運転差し止めを求めた裁判の第34回口頭弁論が9月1日、大津地裁(堀部亮一裁判長)で行なわれた。5人の原告側証人のトップバッターとして、福島からの避難者である菅野みずえさんが証言台に立ち、自分が経験した苦しみを福井や滋賀の人々に味わわせないために、裁判所が役割を果たすことを期待したいと訴えた。

9月1日、大津地裁での第34回口頭弁論後の報告集会。(撮影/筆者)

 菅野さんの証言概要は次のとおり。

 ①事故発生直後、情報がまったく伝わらず、被曝を余儀なくされた。浪江町役場にも東電からの情報が入らず、町民を放射能レベルが高い菅野さんの居住地域である津島に避難誘導していた。そのため、津島は人でいっぱいになったが避難してきた人たちは外出するなど普通の生活をしていた。残っていた雪を食べたという子どももいた。

 ②3月12日夕方、映画『風の谷のナウシカ』にでてくるような白い防護服と防護マスクをつけた人が、車の中から、「なんでこんなところにいるんだ!」「ここはあぶない!」「頼む、逃げてくれ!」と何度も繰り返した。

 ③だが、14日はまだ津島におり、この世の終わりのような爆発音を聞いた。テレビなどの音とは全く違った。もうこの家には戻れないと思った。

 ④15日から全町避難が始まり、避難先の郡山市でスクリーニングを受けたが、測定上限10万cpmの計測器の針が振り切れた。その時は、髪を洗うよう言われただけで適切な除染措置は行なわれなかった。

 ⑤甲状腺がんを発症し、因果関係を知るためスクリーニング時のデータを要求したが、データは失われていた。

 さらに菅野さんは、除染しても雨や落ち葉などで放射能汚染レベルが再び上がるので浪江町へ帰還する決心がつかないこと、あるべき日常など事故で失ったものについて証言した。

 裁判終了後の記者会見・報告集会で弁護団は、菅野さんにはほぼ予定した内容について証言していただいたと評価。今後について、次回12月1日の証人尋問では平尾道雄・米原市長が避難計画について証言することが決まったこと、その後は放射性廃棄物問題で芝邦生氏、地盤の三次元探査の必要性について芦田譲・京都大学名誉教授、地盤問題全般で赤松純平先生の順で尋問が行なわれ、来年中に証人尋問が終了、再来年に判決という見通しを示した。

 菅野さんの陳述書はhttp://www.nonukesshiga.jp/に掲載されている。なお、ブックレット『菅野みずえさんのお話』(2021年3月、アジェンダ・プロジェクト発行、1320円)を証拠として提出した。

(『週刊金曜日』2022年9月30日号)

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