同性婚差別の愛知県議が謝罪 ハラスメント疑惑は未解決
飯田光穂・WebメディアNOISIE編集長。ライター|2022年10月19日7:00AM
選択的夫婦別姓制度導入を求めて活動する選択的夫婦別姓・全国陳情アクションの井田奈穂事務局長のFacebookに9月27日、愛知県議会の渡辺昇議員から「同性結婚なんて気持ち悪い事は大反対!」というコメントが投稿された。そこで井田氏と性的マイノリティ当事者の計4人が10月4日、愛知県議会議事堂を訪れ、婚姻の平等を切実に求める性的マイノリティだけでなく、多くの性的マイノリティの人権と尊厳を著しく傷つける差別発言として抗議文を提出。正副議長と対談した。
渡辺県議に対しては、まずレズビアン当事者である筆者が「『愛知県人権尊重の社会づくり条例』には『性的指向及び性自認の多様性について、県民及び事業者の理解を深めるために必要な取組を推進する』とあり、本来は人権尊重を推進すべき立場である渡辺議員の発言は容認し難い。発言への謝罪・撤回、渡辺議員への厳正な処分を求めて厳重に抗議します」と抗議文を読んだ。
続いて井田氏が愛知県民から集まった性的マイノリティ当事者や当事者家族の訴えを紹介。大阪公立大学人権問題研究センターに所属する劉靈均氏は「快・不快の問題ではなく、議員の身分と知名度を利用する人格権や生存権への損害の方が大きい。愛知県の差別禁止条例、大学・高校・小中学校・専門学校・特別支援学校の教職員と学生にLGBTと男女平等の啓発、セクハラとSOGI(性的指向と性自認)ハラの通報体制の確立、パートナーシップ、ファミリーシップ条例の作成が必要」と要望を伝えた。
名古屋市で性的マイノリティのための電話相談や当事者による啓発などを実施しているNPO法人PROUD LIFE副代表理事の風間孝氏は「国の自殺総合対策大綱にも記されているように、性的マイノリティは自殺念慮におけるハイリスク層である。パートナーシップ・ファミリーシップ制度を早急に制定し、性的指向や性自認にもとづく差別を禁止する条例を制定してほしい」と訴えた。
抗議文を渡された渡辺県議は「本当に申し訳ございませんでした。今後はどんな場面でもそのようなことは口にしません」と謝罪した。ただ、渡辺県議には、SNSで女性議員やアクティビストに不適切な面談要求や個人情報開示要求を繰り返しているハラスメント疑惑もある。「まずあなたと面談したい」と執拗にアプローチされた当事者である井田氏から、「女性の地方議員やアクティビストに対し、SNSでホテルでの面会を求めたことなどをどのようにお考えか」と聞かれた渡辺県議は、「シティホテルやビジネスホテルは待ち合わせしやすい。ジュースでも飲みながら情報交換したいという目的があった」と弁明した。