同性婚差別の愛知県議が謝罪 ハラスメント疑惑は未解決
飯田光穂・WebメディアNOISIE編集長。ライター|2022年10月19日7:00AM
差別禁止条例に消極姿勢
渡辺県議の謝罪を最後に報道陣は退室。愛知県議会の須崎かん議長と佐藤一志副議長、私たち抗議者4人が話し合った。そこで、井田氏が、公開の許可がとれた渡辺氏のハラスメント事案3件の証拠を提出。いずれも渡辺県議の粘着が見られ、1件は前日まで被害者が提出を迷うほど生々しい内容だった。しかし須崎議長は「証言をもっと持ってきてほしかった。もっとリアルな話もしてほしかった」と発言。県議の地位を利用したハラスメントに声を上げるにはどれほど勇気が必要か全く理解していないことがわかった。
また、「県議会、自民党愛知県議団として性的マイノリティへの差別発言を許さないと表明してほしい。当事者との意見交換や勉強会を開き、パートナーシップ条例を作り、差別禁止条例を制定してほしい」と訴えたが、須崎議長は「今日は思いの丈はうかがうが、“抱き合わせ”で勉強会や条例をやるという話はしづらい」「他の自治体がやっているから我々もというわけには」と消極的な態度。さらに「人権条例は皆さんもご苦労していると思うが、制定について自分たちも叩かれてきた。なにもやっとらんわけじゃないもんですからね、そこも認めていただきたい」と主張した。
6日、渡辺県議は自民党県議団を退団し、公認は取り消されたが、須崎議長のハラスメントへの意識の低い態度からもわかるように、1人を退団させただけでは再発の懸念が拭えない。「人権尊重の社会づくり条例」を有名無実にされないため、今後も具体的な提案を続けていく必要がある。
(『週刊金曜日』2022年10月14日号)