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『京都新聞』大株主への報酬返還訴訟で新展開
志葉有人・ライター|2022年10月27日7:00AM
京都新聞社(京都市中京区)の持ち株会社「京都新聞ホールディングス」(HD)が大株主に多額の報酬を支払ったのは違法な利益供与にあたるとして、『京都新聞』の記者2人が6月29日に大株主の元相談役ら2人を会社法違反で刑事告発した(本誌7月15日号既報)が、それに続いてHDの個人株主もアクションを起こした。
大株主で元相談役の白石浩子氏に対し、息子の京大氏が2021年まで代表取締役を務めたHDが支払ったとされる役員報酬など約5億1090万円の返還をHDが求めた訴訟(6月28日提訴)に、HDの個人株主1人が原告側の「共同訴訟参加人」として9月に加わったのだ。
前記の報酬支払いについては、弁護士らによる第三者委員会が違法と認定し、HDが白石浩子氏への返還請求訴訟を起こしていた。しかし、この訴訟には当初から「茶番」の疑いが指摘されていた。
「HDは白石氏とその一族に今も忠誠を誓う人たちが支配していることに変わりはない。返還請求訴訟は第三者委の違法認定を受けて仕方なく起こしたにすぎない。法廷外での交渉や、口外禁止条項付きの和解など、不透明な成り行きが十分に予想される」
前記の個人株主もこんな疑いを抱き、白石親子を告発した京都新聞社員と同じ労働組合・関西新聞合同ユニオン加入の組合員として行動を起こした。
共同訴訟参加人は証拠の閲覧・謄写など原告同様の活動が可能。独自の立場で訴えの追加や、必要であれば返還請求額を増やすこともできる。この株主の代理人は「HDの訴訟に対し強力な監視役として関わることで、緊張感と実効性を持たせることが可能」という。
同ユニオンは「HDの訴訟は放っておくと市民や読者らへの説明もなく収束する懸念がある。そんなことは許されない。HDは嫌がっているはずだが、個人株主の思いと行動を全面支援する」という。
(『週刊金曜日』2022年10月21日号)
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