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関電元幹部らを追加告発 倉庫賃料を元町議に相場より3・5億円高く払った疑い
脱原発弁護団全国連絡会|2022年10月28日4:33PM
関西電力(関電)の歴代幹部による金品受領に端を発した一連の問題で、新たに日本全国1040人の市民が10月12日、福井県高浜町議だった男性(以下元議員)に不当な利益供与を続けていたなどとして、森詳介元会長や八木誠前会長ら旧経営陣6人と元議員を、会社法の特別背任などの疑いで大阪地検に告発した。
本年4月20日、関電は、コンプライアンス委員会による新たな調査報告書を公表し、土砂処分事案、土地賃借事案、倉庫事案の3点の不正を報告し、関電が地元対策のために土砂処分や土地・倉庫の貸借で高値発注していた実態が明らかになった。9月6日に土砂処分事案、土地賃借事案について告発したのに続き、倉庫事案について新たに刑事告発した。
元議員が、高浜町幹部とともに、自己の経営する会社の借金返済のために、関電に支援を要請し、関電は2007年4月から18年3月まで関電プラントを介して元議員の会社の倉庫を相場より高い賃料で賃借し、その相場と実際の賃料額の差額がおよそ3億円超にものぼった。この件につき、元議員を収賄罪、森詳介(07年当時社長)、森本浩志(当時原子力事業本部長)、八木誠(当時原子力事業本部長代理)については贈賄罪及び特別背任罪で告発した。
国税庁の指摘を受け、18年3月に関電は倉庫の賃料を減額し、その分の補填として高値での土砂処分工事を元議員の親族の会社に発注し、不当に利益を供与した。これらを受けて、そもそも支払っていた賃料が過大であり、その減額にあたり代替策として土砂処分工事の高値発注をすることで元議員に不当な利益を供与しているとして、元議員を収賄罪、豊松秀己(17年当時原子力事業本部長)、森中郁雄(当時原子力事業本部長代理)、鈴木聡(当時原子力事業本部副事業本部長)については贈賄罪及び特別背任罪(または背任罪)で告発した。
提出後の記者会見で、井戸謙一弁護士は、「今回の告発は今までの告発とは質が違う。元議員の会社に対して、関電が不当な利益を継続的に与えていた。その金額が総額約3億5000万円という事案。元議員は高浜1、2号機のスムーズな再稼働に自分は協力する、そのために動くよ、自分の要求を呑んでくれたらという趣旨の発言までしている。結果的に、彼はそう動いて、関電の再稼働に大きな役割を果たしている。結局、関電がカネで地方自治を買って原発を自分たちの思うがままに稼働させた構図。以前から指摘されてきたが、具体的な事実として明らかになった。ぜひ検察は前の告発事実と含めて厳正に捜査して、原発の闇の部分を明らかにしてほしい」と述べた。
倉庫事案は2013年2月23日付『毎日新聞』夕刊がトップで元議員の名前を出して報じている。元議員は、議会では原子力対策特別委員会の委員長も務めた。
告発人の末田一秀さんは、「最初の告発について起訴相当(関電役員らの報酬補填等)、不起訴不当(元助役の森山栄治氏からの金品受領等)がなされた検察審査会の8月1日の議決公表からもうじき3カ月経つが、地検は強制捜査していない。大阪地検は捜査が足りないと捜査のあり方も批判した検審の議決を真摯に踏まえ、今回の告発を受け止めて真相を暴いてほしい」と述べた。
弁護団長の河合弘之弁護士は、「不正還流事件の第1次段階では、森山氏から関電幹部にカネが行った。それについて関電は確かにカネの還流はあったが、森山からカネを貰ったからと言って不当な高値発注はしていない、だから実質的な損害はないという空々し言い訳をしていた」と批判。「今回の告発の大きな特徴は汚職罪で、赤裸々な犯罪が明らかになったことと、かつ、そのために消費者の電気料金が使われたり、非常に深刻かつ重大な問題になってきた。長期にわたって継続的にカネをばらまくようなことまでしないと原発の維持運営ができない。他の原発でもこれくらいのことをしないと維持できないのではないか。氷山の一角だと思う」と断じた。
(『週刊金曜日』2022年10月28日号)
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