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「秘密回収指令文書」公開訴訟
連載”日の丸ヤミ金”奨学金 第12回

三宅勝久・ジャーナリスト|2022年10月29日7:00AM

一括請求の〝指令書〟とみられる文書の「全面黒塗り」撤回を求めた裁判がスタート。他方、取材を進めた各地の学資貸与事業には古き良き奨学金制度の名残が。

文書開示により資産を秘匿する者が現れるなどと述べる日本学生支援機構の答弁書。(撮影/三宅勝久)

 8月26日午前10時40分、東京地裁703号法廷で、筆者が日本学生支援機構(以下、支援機構)を相手に起こした情報公開訴訟(7月1日号掲載の連載第10回を参照)の第1回口頭弁論が開かれた。

 被告の筆頭代理人は過去に武富士の代理人を務めたことで有名な熊谷信太郎弁護士。だが、この日の被告席には誰もいない。民事訴訟法のきまりで第1回口頭弁論を被告は欠席することができる。10人足らずの傍聴人の中にも支援機構の関係者はいない。被告は全面的に争う旨の答弁書を事前に提出して、擬制陳述した。

 支払能力のない債務者に対する繰り上げ一括請求など違法回収の指示が記載されていると疑われる秘密文書「法的処理実施計画」の黒塗り撤回を求める訴訟は、被告不在の中で静かにはじまった。

「法的処理実施計画」の黒塗りのどこかに繰り上げ一括請求の指示が書かれているのではないか。筆者がそう推測するのには理由がある。

 というのは「繰り上げ一括請求に関するいっさいの文書」を支援機構に対して開示請求したところ、唯一出てきたのがこの文書だった。しかも、完全に黒塗りだった。独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(独立行政法人等情報公開法)5条4号ニに該当する非開示情報だというのが支援機構の説明だ。

 同号は、「(法人等が行なう)事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより(中略)当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」は非開示にできると規定、「ニ」として「契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、(中略。法人の)財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ」がある情報を例示している。

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