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「拳銃自殺は計画的だから精神的に不安定ではなかった」と神奈川県警

池添徳明・ジャーナリスト|2022年12月7日5:42AM


東京高裁が入る裁判所合同庁舎。(撮影/池添徳明)

 神奈川県警泉署の新人巡査だった古関耕成さん(当時25歳)が2016年3月に署内のトイレで拳銃自殺したのは、先輩や上司からいじめやパワーハラスメントを受け精神的に不安定だったのに拳銃を所持させたことが原因だとして、秋田市在住の両親が神奈川県に損害賠償を求めた訴訟の第1回控訴審が11月24日、東京高裁で開かれた。

 一審の横浜地裁は「精神に不調を来している者に拳銃を携帯させたのは、安全配慮義務違反の過失がある」として県警の責任を認め、遺族の請求通り約5500万円の支払いを命じたが、県警側が判決を不服として控訴した(本誌6月17日号、7月22日号、8月12日号ほかで判決など詳報)。

 一審の判決は「耕成さんは交番勤務ができなくなるほど落ち込み、仕事を辞めるかどうか決断しなければならなくなるまで追い込まれていた」と認定。「精神障害などの病気を発症していた疑いが否定できず、精神に不調を来していた」として、「事情聴取したり経過観察したりすることなく拳銃を貸与した」と判断した。

 県警側は控訴理由書で「古関巡査が精神に不調を来していた事実はない。拳銃貸与前まで自殺を実行していないことから、拳銃自殺を計画していたのは明らか。計画的に行動できる精神状態から、うつ病などの精神障害の発症を疑えるような精神的に不安定な状態ではなかった」などと主張。

 これに対し古関さん側の弁護団は「拳銃自殺を遂行する計画的な行動こそ異常で、精神的に不調を来している端的な現れだ。上司らも耕成さんの不調を感じ危機感を覚えていたからこそ、母親らに迎えに来ることを求めた。一審判決の判断は極めて常識的で真っ当だ」と答弁書で反論した。

 増田稔裁判長は第2回弁論期日を来年1月19日と指定し、次回で結審する方針を示した。

(『週刊金曜日』2022年12月2日号)

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