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自衛隊が『琉球新報』記者の取材妨害、データ消去要求
阿部岳・『沖縄タイムス』記者|2022年12月14日7:00AM
陸上自衛隊が施設外の民間地で新聞社の取材を妨害する事態が起きた。琉球弧を舞台に大規模な日米共同統合演習「キーン・ソード23」が始まった11月10日、沖縄県八重瀬町にある南与座分屯地。周辺から訓練の様子を撮影する『琉球新報』のフォトグラファーを自衛官が制止し、撮影データの削除を求めた。
『琉球新報』によると、自衛官2人が近づき「写真を撮るのはだめなので(画像データを)消してください。消すところも見せてください」と求めた。電話で連絡を受けた別の記者が根拠を尋ねたところ、自衛官は削除要求を取りやめた。
『琉球新報』の島洋子編集局長は取材に対し「県民に演習の様子を知らせるための正当な取材。民間地からの撮影で、腕章も着けていた」と説明。「県民の知る権利に応えるための報道への介入と受け止められるような行為はあってはならない。自衛隊は再発を防止していただきたい」と求めた。
新聞労連が抗議声明
新聞労連(石川昌義委員長)も抗議声明を発表した。「自衛隊や米軍の拠点を取材者の視点で監視する報道は、軍事力の暴走に歯止めを掛け、市民の安全な暮らしを守るために必要なもの」と指摘し、「『秘密』の領域の無秩序な拡大は、権力による情報の独占や秘匿につながる」と批判した。
陸自第15旅団(那覇市)はデータ消去などを求めたことを認めた。「外部からの撮影を禁じてはいない。齟齬が出てしまった。今後、法令に基づいて対応するよう各部隊を指導していく」と再発防止の姿勢を示した。
一方、謝罪を『琉球新報』にするかを尋ねると「その場で記者と話して意思の疎通は取れている」と否定した。「写り込んだらまずいものはある」「駐屯地の外での撮影に制限はないが『何をされていますか』と隊員が聞くことはある」などと述べ、できる限り撮影を規制したい本音もにじませた。
(『週刊金曜日』2022年12月9日号)