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「袴田事件」再審請求 半世紀の闘いはついに最終ラウンド
粟野仁雄・ジャーナリスト|2022年12月18日7:00AM
来年3月末までに決定
非公開の審理では、再審請求人と認められた姉、ひで子さん(89歳)が法廷に立ち「56年間も無実を訴えてまいりました。巖はいまだ妄想の世界ですが、真の自由を与えてください」と述べて結審した。装飾を嫌うひで子さんらしいきわめて短く簡潔な陳述だった。
ひで子さんによると同日午前、支援者が運転する車で前日に浜松市から上京していた巖さんは庁内で大善裁判長ら3人の裁判官に会ったという。まだ拘禁症状が強く残る巖さんは「事件はない」「誰も殺されていない」「裁判は終わった。俺は無罪になっている」などと述べたそうだが、ひで子さんは「裁判長はわかったようなふりもして巖に優しく接してくれていました」と喜んだ。弁護団事務局長の小川秀世氏は「裁判官に見てもらう巖さんのメッセージを録画していたが、面会が実現したのでビデオは提出しません」と話した。
14年に再審開始決定を出した村山浩昭裁判長(現弁護士)は東京拘置所まで巖さんに会いに行ったが、面会拒否で会えなかった。浜松市から駆け付けた支援者の猪野二三男さんは「大善裁判長は審理を公平に進めていますよというメッセージを巖さんに与えようとしたのだと思います」と話した。
大善裁判長は来年3月末までに決定を出すと表明した。これまで弁護団への事前通告は「決定の2週間前までに」としていたが、今回は1カ月前までに通告すると約束した。村崎修弁護士は「もう裁判長は決断したのだと思う」。いつも慎重だった西嶋勝彦弁護団長も「裁判所に十分納得してもらったと思う。大島決定を取り消す再審開始決定以外に考えられない」と自信を見せていた。
この日、裁判所にひで子さんや弁護団が向かう直前に弁護士会館のロビーで、日本プロボクシング協会「袴田巖支援委員会」の新田渉世委員長や現役選手らがひで子さんの胸に「FREE HAKAMADA」などのバッジをつけて激励した。
(『週刊金曜日』2022年12月16日号)
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